第1章 自律的回復の芽生えがみられる日本経済
日本経済は97年春以降、景気後退局面に入っていたが、各種の政策効果によって、99年春ごろ下げ止まり、その後緩やかな改善が続いた。99年後半からはアジア経済の回復の影響も加わった。景気回復過程における在庫調整→生産増→企業収益増という動きがみられるなか、99年末には設備投資にも持ち直しの動きがみられている。生産増→所得増→消費増という経路についてみると所得は下げ止まってきたものの消費の増加傾向は2000年6月時点でも明確には認められない。このように、景気は「自律的回復に向けた動き」はみられるものの、本格的な回復軌道に乗ったといえる状況には依然至っていない。
第1章では、第1節で景気の現状を点検し、第2節では、景気の先行きに大きな影響を与える諸点について考察する。