第2章 米国の貿易・投資構造(付注2-1)
付注2-1 重力モデルを用いた米国の財貿易の構造分析
1.データ出所
フランス国際経済予測研究センター(CEPII)が提供する重力モデルを推定するためのデータベース(CEPII Gravity Database)を使用。データ期間は、1962年から2020年。
2.推定式118
(実証分析①:全ての国の財貿易を対象とした分析)
(A)推定式119

(B)変数の定義

(実証分析②:米国の財貿易額を対象とした分析)
(A)推定式122

(B)変数の定義

(実証分析③:米国の財輸入を対象とした分析)
(A)推定式

(B)変数の定義

3.推定結果
(実証分析①:全ての国の財貿易を対象とした分析)

(実証分析②:米国の財貿易額を対象とした分析)


(実証分析③:米国の財輸入を対象とした分析)

118  ポアソン疑似最尤推定法を用いた重力モデルのより厳密な定式化については、荒木(2025b)参照。
119  年ダミーYearytを全ての年に入れていることから、任意の年t=yにおいてγyが切片の役割を果たすことから、切片β0は入れていない。
120  輸入には関税がかかる場合があることから、各国の税関は輸入の情報をより正確に調査・記録している可能性が高く、一般に、輸入国側の統計の方が輸出国側の統計よりも精度が高いと考えられる。このため、ここでは、輸入国側の統計を用いている。なお、輸出国側の統計を用いた場合も、おおむね同様の結果が得られる。
121  Distijは、国iの最も人口の多い都市と国jの最も人口の多い都市との間の地理的距離を表す。
122  年ダミーYearytを全ての年に入れていることから、米国のGDP(tにのみ依存)を説明変数として入れる場合、多重共線性が生じることから、米国のGDPは説明変数として入れていない。
123  FTAjt=1となる国は、米国とFTAを締結している国(オーストラリア、バーレーン、チリ、コロンビア、イスラエル、ヨルダン、モロッコ、オマーン、パナマ、ペルー、シンガポール、韓国)、米国・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定(DR-CAFTA)の加盟国(コスタリカ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア)、北米自由貿易協定(NAFTA)及び米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の加盟国(カナダ、メキシコ)の計20か国。
124  財貿易額上位10か国・地域は、メキシコ、カナダ、中国、ドイツ、日本、韓国、台湾、ベトナム、英国、インドを指す。なお、ベトナムについては、2007年1月のベトナムのWTO加盟後、米国のベトナムとの財貿易額が増加していることを踏まえ、ベトナムにおけるCountrycjtは、2007年以降の値のみ1をとるダミー変数を設定している。
125  財輸入上位10か国・地域は、メキシコ、中国、カナダ、ドイツ、日本、ベトナム、韓国、台湾、アイルランド、インドを指す。なお、ベトナムについては、2007年1月のベトナムのWTO加盟後、米国のベトナムからの輸入額が増加していることを踏まえ、実証分析②と同様、ベトナムにおけるCountrycjtは、2007年以降の値のみ1をとるダミー変数を設定している。