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第１章 世界経済の回復とギリシャ財政危機 |
ヨーロッパ経済は、09年春頃に景気の最悪期を脱し、景気は下げ止まっている。先行きについては、基調としては緩やかな持ち直しに向かうと見込まれる。ただし、景気の先行きには、信用収縮、これまでの政策効果の反動、また雇用の悪化等といった下方リスクがある。加えて、ギリシャ財政危機により、他のヨーロッパ諸国の財政状況やヨーロッパの金融システムに対する懸念が高まり、金融資本市場の変動が更に深刻化するリスクに留意する必要がある。
以下では、ヨーロッパのマクロ経済動向の先行きを占う上で重要と考えられるいくつかの論点をみた後、財政・金融政策の動向を概観する。また、ギリシャ財政危機の経緯と今後の見通し、コンテイジョン（伝染）、危機の根本的な要因と教訓について検討する。