第1章 世界経済の回復とギリシャ財政危機 |
世界金融危機の発生後、危機の震源地であるアメリカやヨーロッパでは、金融危機と急速な実体経済の悪化に対応するため、政策金利の引下げに加え、様々ないわゆる非伝統的な金融政策が採られてきた。しかしながら、金融市場の安定化に伴って、金融システム安定化のための政策手段については既に終了しつつある。
アメリカでは、信用緩和(Credit Easing)として、市場の流動性や安定性を確保するためにCP、国債、MBS等の各種資産の買取り等が実施されてきたが、2010年に入りこれらはほぼ終了している(第1-1-4図)。
ヨーロッパにおいても、欧州中央銀行(ECB)によるカバード・ボンドの買取りや流動性供給の拡大、イングランド銀行(BOE)による国債の買取り等が実施されてきたが、ECBによるカバード・ボンドの買取りは10年6月に終了予定となっており、BOEによる国債等の買取りは10年1月時点で当初の予定枠を使い切り、事実上終了している(第1-1-5図)。