第2章 新興国経済:金融危機の影響と今後の展望 |
第5節 金融危機の影響が深刻化するロシア経済
ロシア経済は、2000年代に入ってから主要輸出品である原油・石油製品等エネルギーの価格高騰を受けて高い経済成長を続け、2000〜08年の年平均の実質経済成長率は約7%と堅調であった。しかし、08年夏以降の原油価格急落や世界金融危機の影響を受け、株価及び通貨ルーブルが大幅下落するとともに輸出や生産も大幅に減少したため、実体経済は急速に悪化し、ロシア経済は景気後退に陥った。09年に入り景気後退は更に深刻化している。
ロシアとヨーロッパ諸国との経済関係は相互に密接となってきており、特に、西欧諸国、中・東欧諸国はロシアの石油等エネルギー資源への依存度を高めている。
以下では、景気後退が深刻化するロシア経済の現状と、その主たる要因である石油等エネルギー価格低下及び世界金融危機の影響をみた上で、景気後退に対応するための金融面、財政面での政策を分析し、ロシアの今後の経済運営の方向について探る。