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第2章 新興国経済:金融危機の影響と今後の展望


第3節 世界的な景気後退と中国

   中国経済は、2003年から5年連続して二けた台の高成長を続けてきた。しかし、07年後半以降、経済の過熱防止・インフレ抑制のための金融引締めや輸出抑制策が採られ、緩やかに景気が減速してきたところに、世界金融危機後の世界的な景気後退の影響を受けて景気は一段と減速した。中国では、世界金融危機の影響は、輸出、生産等、実体経済面に大きく現れている。
   こうした中、中国政府は、08年11月に4兆元規模の投資を含む内需拡大策を打ち出すなど、経済成長の維持に取り組んでおり、足元では対策の効果により景気が持ち直す動きも現れている。しかしながら、最近の中国経済をけん引してきた輸出と投資をみると、世界経済全体の後退が続く中、輸出の早期回復は期待できず、また投資についても、不動産開発投資の大きな落ち込みなど、先行きの懸念材料も多い。
   一方、中国は人口約13億人という巨大な市場を持つことから、内需の潜在力について注目が高まっており、中国政府も内需拡大を重視する姿勢をみせている。以下では、最近の中国経済の動向や景気刺激策等の政策対応について概観した上で、今後の消費拡大に向けての課題について分析することとしたい。


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