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12 オーストラリア   Commonwealth of Australia

<2006/2007年度>
オーストラリア経済のこれまで

2006年の経済>  
  2007年の経済成長率は4.1%(06年2.6%、06/07年度3.3%)となり、堅調な拡大が続いた。個人消費は良好な雇用・所得環境に加えて、年央から所得減税が実施されたことにより堅調に推移した。設備投資は、07年前半は資源分野の企業業績の改善に伴い内需をけん引したが、後半は伸びが鈍化した。一方、輸出は豪ドルの増価が進んだことや、06年に続く大規模な干ばつによる農業部門の生産の減少及び輸送インフラのボトルネックにより伸びは抑制された。消費者物価上昇率は、07年後半以降、高水準で推移しており、10〜12月期には政策目標圏(前年比2.0〜3.0%)の上限に達した。失業率も低下し続け、統計開始(79年)以来最低水準の4.4%となった。

オーストラリアの主要経済指標

2008年の経済見通し>
  2008年の経済成長率は、3.3%程度になると見込まれる(政府見通し3.5%(07/08年度))。民間機関21社の平均は3.2%(08年5月時点)となり、前回(07年11月時点3.4%)を下回っている。
  政府はインフレ抑制のため金融引締め政策を強化していることから、年前半は内需が鈍化するものの、堅調な雇用環境が続くと期待されることや、7月以降は所得税減税が実施されることから、個人消費を中心に底堅く推移するものとみられる。また、08年は天候条件の改善により穀物生産が前年を上回ることが見込まれており、穀物の輸出が持ち直すと期待される。
  交易条件の改善が経済を下支えする一方で、下方リスクとして、豪ドル増価による輸出のさらなる鈍化、物価上昇や金融引締め政策に伴う金利上昇によって内需が想定以上に減速する可能性が懸念される。

<財政金融政策の動向>
   財政収支は、9.8億豪ドル(GDP比0.1%)の赤字を計上した01/02年度を除き97/98年度以降黒字で推移し、07/08年度予算では217億豪ドル(GDP比1.8%)の黒字を見込んでいる。
  労働党政権が13年ぶりに担当した07/08年度の連邦予算では、歳出の伸びが1.1%と過去9年間で最も低くインフレ抑制に対応した内容となっている。歳入面では、550億豪ドル規模の家庭支援総合政策として、今後4年間にわたる個人所得税の減税、教育関連税の還付の実施、育児税還付率の引き上げ及び住宅取得の支援等が盛り込まれている。歳出面では400億豪ドルを拠出して運輸・通信、高等教育研究施設及び国立病院のインフラ整備等に関する三つの新たな基金を創設するほか、公共保険制度の活性化のための国民保険・国立病院改革、気候変動対策及び水道設備の整備等に重点が置かれている。
  金融政策については、オーストラリア連邦準備銀行(RBA)は、インフレ抑制のため07年8月から08年3月にかけて政策金利を4度引き上げ7.25%とした後、3ヶ月連続で据え置いている。RBAは、利上げの効果として国内需要に鈍化が見られる一方で、交易条件の改善が景気を押し上げる可能性もあると指摘している。


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