第2章 減速しつつも回復を続ける世界経済 |
第1節 景気が弱含み後退局面入りも懸念されるアメリカ
5.今後の見通し
●2008年は景気後退も懸念されるが、年後半には持ち直しの動き
アメリカの景気は弱含んでおり、景気後退局面入りも懸念される。
08年後半以降は、これまでの財政金融政策の効果が徐々に出てくることなどから、金融機関の資本増強策の効果等により金融資本市場の混乱が落ち着いてくれば、景気は徐々に持ち直すとみられる。このため、仮に景気後退局面に入る(入っている)としても、緩やかで短期的なものとなるとみられる。ただし、景気刺激策である戻し減税による消費の押上げ効果については、4〜6月期、7〜9月期などに集中する可能性があり、それ以降については、その反動による消費の停滞の懸念もあり、その後の景気回復は緩やかになるとの見方が多い。
こうした見方に対しては、金融資本市場の混乱の長期化・深刻化、一次産品等の価格の高止まりや一層の高騰等の下方リスクも考えられる。一方で、金融資本市場が早期に落ち着きを取り戻す場合や物価上昇が早期に抑制されてくる場合には、より力強い回復軌道に乗っていく可能性もあると考えられる。
したがって、経済対策で景気が下支えされている間に、景気の足取りがどの程度力強いものとなっていくか、特に、金融資本市場が安定をどの程度取り戻せるか、今後の物価動向がどうなるかなどが注目される。