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第2章 減速しつつも回復を続ける世界経済

第1節 景気が弱含み後退局面入りも懸念されるアメリカ

4.インフレーション懸念の台頭

  最後に、景気の下押し圧力を高めている重要な要因となっているインフレーションについて、みてみよう。
  07年後半以降、原油等の資源価格や食料品価格は上昇傾向を強めており、エネルギー価格を中心に物価上昇が続いている(前掲第2-1-7図同第2-1-8図第2-1-30図)。一方、雇用コスト面からの物価上昇圧力はやや緩和している。非農業部門の労働生産性や賃金上昇率の推移をみてみると、労働生産性が07年7〜9月期から04年4〜6月期以来の上昇幅で改善している一方、賃金上昇率は07年10〜12月期から雇用情勢の軟化に伴ってやや鈍化傾向にある(第2-1-31図)。ただし、消費者物価の上昇率が高止まりするようであれば、今後、賃金上昇に波及していくおそれがあると考えられる。
  このように、これまでのところの物価上昇はエネルギー、食料品価格を中心としたコストプッシュ型のものとなっている。インフレ期待をみても、インフレ連動国債と10年物国債の金利差でみた長期のインフレ期待は抑制されたものとなっている(第2-1-32図)。しかし、より短期では、このところインフレ期待がはっきりと上昇している(第2-1-33図)。また、原油等の資源価格の高騰は続いており、今後、その影響が国内物価にもさらに強く影響し、期待インフレ率のさらなる上昇につながるおそれもある。したがって、引き続き、景気及び物価動向については注意深く見守っていく必要がある。金融政策についても、景気後退の回避と物価上昇の沈静化という二つの要請の下で、一層難しい判断を迫られる事態に直面することも想定される。


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