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2006年の経済>
   2006年の経済成長率は、2.8%と05年の1.9%から加速した。主要輸出先であるヨーロッパの景気回復が持続し、国内では金融業を中心に企業部門が好調であり、投資の伸びにけん引された成長が続いた。移民の流入や労働参加率の上昇を受け失業者数は年半ばにかけて上昇したものの雇用は増加しており、住宅価格の上昇による資産効果もあって消費が下支えされた。年初にはインフレ目標の前年比2%前後で推移していた消費者物価(CPI)上昇率は、電気、ガス料金の値上げを含めた原油価格高騰の影響等により、年末には3.0%にまで上昇した。好景気が続く中でポンド相場は増価が続き、年初から名目実効為替レートで約5%上昇、ユーロに対しても緩やかに増価した。

2007年の経済見通し>

英国の主要経済指標 

  2007年の経済成長率は2%台後半となる見込みである(政府見通しは、2.75〜3.25%、民間機関26社の平均2.6%(07年4月時点)。民間機関の見通しについては、前回(2.4%(06年10月時点))に比べて上方修正されている。なお、欧州委員会の春季経済見通し(07年4月)では、07年の経済成長率は2.8%と予測されている。
   07年は主に消費や投資等内需にけん引された成長が続くと見込まれている。企業の設備投資意欲はサービス業を中心に力強く、雇用・所得環境の改善、また、これまでの資産価格の上昇もあって、消費が下支えされるとみられる。これまで物価を押し上げてきた主因である電力・ガス料金の値下げ等から、CPIは徐々に伸びが鈍化していくとみられる。なお、3月のCPIが前年同月比3.1%の上昇となったこと(CPIがインフレ目標の2%より上下1%を超えて乖離した場合、イングランド銀行(BOE)総裁は財務大臣あてにインフレの背景や今後の対応等を記した公開書簡を送ることになっている。)によりBOE総裁は財務大臣あてに公開書簡を提出したが、その中でも年後半にかけて物価は低下していくという従来の見通しは維持された。
   下方リスクとしては、昨年半ばからの利上げの累積的効果が住宅市場を中心に顕在化することや、原油価格の再騰、アメリカやユーロ圏の成長が予想以上に鈍化した場合に、輸出や生産に影響が及ぶ可能性等が考えられる。

<財政金融政策の動向>
   2007年度予算案 (07年3月)によると、英国の財政赤字GDP比はさらに縮小し、07年度はGDP比2.5%、08年度は同2.1%となる見込みであり、今後も財政運営上の規律は維持されるとしている。競争力強化のためヨーロッパ各国で法人税が引き下げられる中、英国でも法人税減税やR&D税額控除の拡充が発表されている。その他、所得税減税、児童税額控除の控除額の引上げ、勤労税額控除の所得制限の引上げ等も盛り込まれている(いずれも実施は08年度)。なお、欧州委員会は、英国の財政収支の改善を受けて06年10月に過剰財政赤字是正手続を停止したが、その後も長期的な財政の持続性の観点からさらなる歳出削減の必要性を指摘している。
   金融政策について、BOEは、06年8月に先々の物価上昇圧力に対して予防的に利上げを実施したのに続き、11月、07年1月と機動的に政策金利(バンクレート)をそれぞれ0.25%ポイント引き上げてきた。さらに、CPI上昇率が3.0%を上回ったこと等を背景に、5月には主要国で最も高い5.50%という金利水準にまで引き上げている。


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