<2006年の経済>
2003年後半から回復局面に入り、06年も内需を中心とした緩やかな回復が続いたことから、経済成長率は2.2%となった。内需については、消費は、雇用環境の改善等から、06年に入り加速した。生産は弱い動きが続いたものの、設備投資は引き続き堅調に推移した。低金利を背景に住宅投資は引き続き活発であったが、06年後半には減速がみられた。一方、エネルギー価格の上昇、輸出産業の競争力低下を背景に純輸出はマイナスとなった。また、政府の雇用対策もあって、雇用情勢は改善しており、06年末の失業率は8.6%と01年以来の低水準となった。消費者物価上昇率については、エネルギー価格に上昇がみられたが、コア物価上昇率は安定的に推移した。
<2007年の経済見通し>
2007年は2%台前半の経済成長が見込まれる(政府見通し2.0〜2.5%、民間機関24社の平均2.1%(07年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(06年10月時点2.0%)に比べてわずかに上方修正されている。景気回復を支える要因としては、まず、雇用環境の改善による消費の堅調な推移が考えられる。次に、01年以来の高い水準にある企業景況感を背景に、設備投資は堅調に増加すると見込まれる。下方リスクとしては、原油価格の再高騰やアメリカ経済の一層の減速、想定以上のユーロ高に伴う輸出の減少が懸念される。また住宅着工件数が06年7〜9月期には減少に転じ、06年10〜12月期のGDP住宅投資も前期比年率▲1.6%と5年ぶりに減少しており、これまで低金利下で拡大を続けてきた住宅市場の調整が想定以上に深刻化する懸念もある。
<財政政策の動向>
2006年の財政赤字は、景気回復により歳入が増加したことなどから、05年のGDP比3.0%から改善して、同2.5%になったと見込まれている。ただし、05年の財政収支については、電力公社の株式会社化により職員年金が一般制度に移行することに伴う清算金受取という特殊要因がGDP比で0.5%程度改善方向に寄与しており、これを勘案すれば、05年から06年の財政赤字の実質的な減少は見かけ以上に大幅なものとなる。財政赤字が、05年同様、EUの安定成長協定で定める同3%以内に収まったことから、07年1月には欧州委員会による過剰財政赤字是正手続も解除された。また、07年春の欧州委員会の見通しでは、歳出減を背景として07年と08年の財政赤字はそれぞれGDP比2.4%及び同1.9%とされており、06年秋の見通しに比べ上方修正された。ただし、政府債務残高は同協定で定めるGDP比60%の上限を引き続き上回っている。なお、サルコジ新大統領の公約では、2012年までに財政赤字GDP比1.5%以内、政府債務残高同60%以下が目標とされている。