<2006年の経済>
2006年のカナダ経済は、通年で2.7%の成長となり、年後半にかけて伸びが緩やかになったものの、おおむね堅調に推移した。カナダ・ドルの増価等により純輸出はマイナスの寄与を続け、住宅投資の伸びの鈍化もみられたものの、堅調な個人消費、設備投資の増加が景気を支える要因となった。年前半は、1〜3月期は良好な雇用環境等を背景に、個人消費や設備投資等の国内需要が堅調であったことから、前期比年率3.8%の成長となった。4〜6月期には同2.0%となったが、これは、国内需要が堅調に推移する中、輸入が拡大したことにより、純輸出のマイナス寄与が拡大したことが大きい。年後半になると、国内最終需要はおおむね堅調であるものの、7〜9月期は、需給の悪化等による住宅投資の減少と在庫調整の影響から、同2.0%となった。10〜12月期には、カナダ・ドル高の落ち着きから海外需要がプラスに転じ、住宅投資も回復の兆しがみられる一方、非耐久消費財の在庫調整や国内外の自動車需要の回復による在庫の大幅縮小により、同1.4%となった。
<2007年の経済見通し>
2007年は2%台の成長が見込まれる(OECD見通し2.5%(07年5月)、民間機関23社の平均2.4%(07年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(06年10月時点2.6%)に比べて下方修正されている。
成長を支える要因としては、家計所得や企業収益の安定的な増加、低水準の失業率といった環境の下、個人消費及び設備投資が堅調に推移するとともに、輸出が緩やかに増加すると見込まれることが挙げられる。
下方リスクとして、アメリカの住宅市場の調整の長期化等によるアメリカ経済の一層の減速、カナダ・ドルの過度の増価による輸出の減速が挙げられる。
<財政金融政策の動向>
2007年度予算によると、06、07年度の財政状況については、1997年度以降連続している収支均衡が引き続き維持される見込みである。これによると、07年度の歳出は前年度比4.6%増の2,334億カナダ・ドルとなる見込みである。一方、好調な経済を反映して歳入も同1.9%増の2,367億カナダ・ドルと見込まれている。こうした中、政府は2012年度までに純債務残高をGDP比25%にするという目標を掲げている。
カナダ中央銀行は、05年9月以降7回連続で利上げを実施してきたが、06年7月以降は政策金利(オーバーナイト・レートの誘導目標)が7回連続で4.25%に据え置かれている(07年4月現在)。07年4月の政策決定後の声明では、「物価の先行きのリスクについては、若干上振れ懸念があるものの、概してバランスの取れた状態であり、政策金利は、現時点では、中期的な物価目標の達成に見合う水準と判断できる」としている。