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第2章 先進各国の生産性等の動向:アメリカの「第二の波」と英国、フィンランド、アイルランド等の経験

第1節 各国の生産性等の動向

    生産性の向上は、経済成長にとって最も重要な要因である。戦後の先進国経済は、アメリカから技術を導入することによって、アメリカより高い生産性の上昇を実現し、アメリカの生産性水準へのキャッチアップ(追いつき)を実現してきた。しかし、アメリカの生産性上昇率は、1990年代半ば頃を境にIT(1)技術の活用により加速し、さらに2000年代に入ってからは「第二の波」とも呼ばれるようにもう一段の加速がみられる。一方、ヨーロッパや日本等他の先進国では生産性が伸び悩んでいる国も少なくなく、この結果、アメリカと他の先進国との生産性格差は、総じていえば、むしろ拡大傾向に転じている。IT技術自体は、基本的にはどの先進国でも利用可能なものであり、ヨーロッパでも、アメリカとの生産性格差の再拡大が重要な問題としてクローズアップされてきている。また、我が国においても、成長力の強化が最重要の政策課題の一つとなっており、経済財政諮問会議で取りまとめられた「成長力加速プログラム〜生産性5割増を目指して〜」(平成19年4月25日)では、政府一体となった成長力強化の取組により、今後5年間のうちに労働生産性の伸びを5割増に高めることを目指すこととしている。
   そこで、本章では、第1節で、アメリカを中心に近年における先進各国の生産性の動向と、それに密接に関係する要因として規制の程度が重要であることなどを概観し、第2節では、アメリカ以外の先進国で経済の活性化、生産性の上昇を実現した例として、英国、フィンランド、アイルランド等の取組をみた上で、こうした各国の経験からどのような示唆が得られるか考えていきたい。

 


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