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第2章のポイント

1.各国の生産性等の動向
●人口一人当たりGDPで、日本はアメリカの7割強、労働時間当たり生産性では、日本はアメリカの7割程度、ドイツ、英国等もアメリカの1割から2割低い水準にある。90年代半ば以降、アメリカの労働生産性上昇率が加速したため、西ヨーロッパ、日本とアメリカとの生産性の格差は横ばいないし拡大傾向で推移している。
●アメリカでは、2000年代に入って生産性がさらに加速している(「第二の波」)。これには、流通・運輸及び金融等といったITを利用する非製造業の生産性上昇が大きく貢献しており、これらの産業を中心に全要素生産性(TFP)も伸びている。
●「第二の波」は、IT投資の効果が遅れて現れてきたものと考えられてきている。この要因の一つとして、IT化により生産性を高めるためには、組織形態や生産プロセスの改善、教育訓練等の人的投資を行うことが重要であり、その効果が顕在化するには長期を要する可能性が指摘されている。
● 生産物市場の規制緩和や労働市場の柔軟性向上が、IT投資を促進し、IT利用産業を始めとする経済の生産性向上に重要な貢献をしていると考えられる。

2.英国、フィンランド、アイルランド等の経験
●英国経済の好調さの背景としては、生産物市場の規制が緩和され柔軟な労働市場が構築された面が大きく、また、そうした改革の成果が90年代の前半以降より明確に現れてきたのは、マクロ経済環境が安定化しインフレ率が低下するとともに景気の振れが平準化されたことが重要な条件となっていたと考えられる。
●フィンランドは、90年代前半の経済危機の後急速に生産性を向上させた。これは、(1)金融システムリスクへの対応を比較的短期間に行い、(2)社会保障給付の削減、規制緩和等の広範な分野での改革・対応を継続的に実施し、(3)研究開発と教育を重視し、(4)マクロ経済環境の安定化を図ったことなどによると考えられる。
●アイルランドの経済成長、生産性の上昇は先進国の中でも際立っている。その背景としては、欧州統合の波に乗り、税制改革、規制緩和、労働市場を柔軟にすることなど外資を導入する環境を積極的に整備してきたことがあると考えられる。
● これら各国の経験はかなり多様であるが、生産物市場の規制改革、柔軟な労働市場、研究開発投資や教育などの人的投資、そして良好なマクロ経済環境等相当程度に共通している要因が少なくない。我が国においても、「進路と戦略」や「基本方針2007」に基づき、各国の経験にも学びつつ成長力強化のための具体的な対応を各分野でスピード感を持って総合的・戦略的に推進することが必要である。その際、一層の規制改革と労働市場改革・人材の活用等によりIT化の効果を浸透させるとともに内外資問わず企業活動に良好な環境を整備しサービス産業等の生産性向上に集中的に取り組むこと、マクロ経済環境を良好に保つことにより投資意欲を喚起することなどが重要と考えられる。


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