<2005年の経済>
2005年の経済成長率は4.1%となり、政府見通しの3.8%を上回った。年前半は世界的なIT関連財における在庫調整の影響等により輸出の伸びが鈍化し、成長は緩やかなものにとどまったが、年後半に入ると半導体や液晶パネル等を中心にIT関連材を中心とした品目の需要が世界的に持ち直したことから、輸出が拡大する中で景気拡大のペースが加速した。通年でみると、個人消費は雇用環境の改善等により増加が続き、前年比3.0%増となった。一方、IT業種等の設備投資が04年中に一段落したこと等により、輸出増加にもかかわらず、民間設備投資は前年比1.3%減と減少した。雇用状況をみると、失業率は低下しており、年後半は3%台で推移し、05年通年では4.1%と過去5年間で最低となった。また、消費者物価上昇率は、原油価格の高騰や、台風被害による食料品の値上がりを受けて、年央には3%台後半に達したが、その後食料品価格の落ち着きにより低下し、05年通年では2.3%となった。
<2006年の経済見通し>
2006年の経済成長率は、4%程度と予測される(台湾当局見通し4.3%、民間機関30社の平均3.9%(06年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(05年10月時点3.9%)から上方修正された。06年も引き続きIT関連財を中心とした輸出の伸び、及び遅れていた投資の回復も年後半には期待されることから、成長率は堅調に推移すると予測されている。
下方リスクとしては、原油価格の高騰による消費者物価上昇への波及が個人消費に与える影響や、中長期的には、中国や東南アジアへの生産拠点の移転による製造業の空洞化の進行に対する懸念が挙げられる。
<財政金融政策の動向>
財政政策については、2005年の財政収支は2,745億元(GDP比2.5%)の赤字となった。99年以降財政赤字が続いているなか、政府は、財政の健全化に向け、歳入の状況を見極めつつ歳出規模を極力抑え、11年までに財政収支均衡を達成することを目標として取り組んでいることから、財政赤字は年々縮小している。06年1月13日に成立した06年予算は、「台湾健康コミュニティ六星計画」(「社会福祉と医療」、「産業発展」、「人文教育」、「環境と自然保護」、「コミュニティの治安」及び「環境に配慮した景観整備」)を中心に、経済発展、社会正義、環境・人文の3分野をバランス良く発展させることに重点を置いた予算編成となった。06年の歳出は前年比0.5%減の1兆5,996億元で、教育科学文化、社会福利等の分野での支出が増加し、国防、経済発展分野の支出が減少している。一方、歳入は景気拡大を反映して同5.3%増の1兆4,038億元を見込んでおり、その結果、財政赤字額は同28.7%減の1,957億元(GDP比1.7%)と更に改善すると見込まれている。
金融政策については、原油価格高騰に対するインフレ抑制を目的として、政策金利(中央銀行再割引率)を04年10月以降、7四半期連続でそれぞれ0.125%ポイントずつ引き上げ、06年3月には2.375%と、01年10月以来の高い水準とした。