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11 インド                 India

インド経済のこれまで

<2005年度の経済>
  2005年度の経済成長率は、8.1%となった(政府見通し(06年2月時点)と同じ)。産業別にみると、好調の続く製造業は前年比9.4%増、ソフトウェア産業等のサービス業は同7.9%増、建設業は同12.1%増、商業・ホテル・輸送・通信分野は同11.1%増と主要産業が大幅に増加した。また企業の好業績を背景に設備投資、輸出が拡大し、景気は堅調に推移した。 一方、インド経済では、天候によって農林水産業(GDPの約20%、就業者数では全人口の約60%を占める)が経済成長率を左右するが、05年度前半は降雨量減少の影響により農業部門が低迷したが、後半には降雨量は増加し、農業部門の成長率も回復した。

インドの主要経済指標

<2006年度の経済見通し>
  06年度の経済成長率は、7%前半と予測される(民間機関7社の平均見通し7.3%(06年5月時点))。民間機関の見通しは、半年前(05年10月時点6.7%)に比べ上方修正されている。下方リスクとしては、原油価格高騰による物価上昇の影響や、天候に左右されやすい産業構造が挙げられる。また、原油や資本財等の輸入の急増によって貿易赤字が拡大していることを背景に、経常収支赤字が拡大傾向にあることが懸念されている。

<財政金融政策の動向>
  財政政策をみると、06年2月28日に発表された06年度予算案は、04年度からの方針を継続しインフラ整備や貧困層支援に力点が置かれた内容となっているが、雇用確保や経済成長のための企業配慮も示されている。特に半導体、石油化学産業等に対しては小型乗用車の物品税引下げ等が盛り込まれ、そのほか自動車、繊維、食品加工等が重点的な成長支援産業と位置付けられている。歳入面では、近年の高成長を反映し税収の伸びが堅調で、06年度も引き続き20%程度の税収増を見込んでいる。税体系の見直しの中では、サービス税が10%から12%に引き上げられた。関税については周辺諸国の水準に近づけるため、非農産品に関する最高税率が15%から12.5%に引き下げられ、金属・化学製品関連を中心とした中間財・素原材料を対象とした引下げも行われた。一方、中央政府と州政府を合わせた一般政府の財政赤字がGDP比で9%を超える水準が近年続いているため、財政改革が喫緊の課題となっている。政府は財政責任法に基づき中央政府財政赤字を04年度以降、毎年GDP比0.3%相当額ずつ削減するよう求められており、06年度予算においても同法に従った赤字削減が盛り込まれ、GDP比3.8%と05年度の実績見込み値の4.1%から改善するとされている。
  金融政策については、インド準備銀行は06年1月24日、翌日物レポレートを5.25%から5.50%へ引き上げた。インド準備銀行は、景気が拡大している中、原油価格高騰等によるインフレ圧力があること、また経常収支赤字を背景にしたルピー安の可能性を指摘しており、今後も利上げ姿勢を継続するとみられている。


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