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19 ロシア連邦        Russian Federation

<2004年>
ロシア経済のこれまで

<2004年の経済>
  2004年の経済成長率は7.1%となり、2003年の7.3%からは若干伸びが低下したものの、景気の拡大が続いている。主要輸出品目である原油、天然ガスが年間を通して高値で推移したため、輸出金額が大幅に増加した。これを受け、可処分所得の増加や、低金利を背景とした消費者向け貸出の拡大等により消費ブームが続いている。しかし、年央のユコス事件(国内最大手の石油企業の倒産と再国有化)をきっかけとして、一部で企業マインドが悪化傾向にあり、国内外企業の投資抑制等の動きもみられている。

<2005年の経済見通し>
  2005年は5%台後半程度の経済成長が見込まれる(ロシア経済発展貿易省見通し5.8%(2005年5月)、民間機関7社の平均5.8%(2005年5月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2004年10月時点5.9%)に比べて下方修正されている。
  成長を支える要因としては、2005年も原油価格は高値で推移するものと見込まれることから、
ロシアの主要経済指標
輸出金額の拡大で得た外貨が鉱工業生産の増加や企業設備投資拡大に向かうことが挙げられる。また、企業収益の増加が可処分所得を増加させることから、個人消費の増加は当面続くと見込まれる。下方リスクとしては、ルーブル高や労働コストの上昇による国際競争力の低下や、原油価格の低下等の影響により輸出が減少し、天然資源輸出に大きく依存する経済が打撃を受ける可能性がある。また、天然資源への外国投資制限や主要産業の再国有化の動き等不透明な状況が続けば、国内外からの企業向け投資の停滞を加速させるおそれがある。

<財政金融政策の動向>
  2004年は、原油価格の上昇等による景気拡大から税収は増加し、財政収支はGDP比4.2%(6,975億ルーブル)の黒字となった。2005年度予算においては、同1.5%の黒字が見込まれており、2001年以来5年連続の財政黒字となる見通しとなっている。
  政府は原油価格が急落したときに備えて、原油価格が高いときに生じる原油関連の歳入(原油抽出税、原油輸出関税等)を蓄える「安定化基金」を2004年初めから導入した。同基金の積立額は原油価格の高値推移により2005年4月末に8,580億ルーブルとなり、目標額の5,000億ルーブルを上回っている。2005年予算法案では同基金の資金の一部が初めて用いられることが決定され、IMF債務の繰り上げ返済に充てられ、債権国会議(パリクラブ)への一部前倒し返済も決定している。さらに、年金基金の資金不足に対する補填や、民間投資が非積極的な分野のインフラ整備のために使用する可能性も議論されている。また、2006年から同基金への資金繰入の基準となる石油価格を1バレル=27ドル(現行20ドル)へ引上げることを決定したことで、基金積立額が減少する一方、政府による財政支出の自由度は高まることになる。
  2004年の物価上昇率は11.7%となり、政府の見通し(10%)を達成できなかった。これは通貨当局が物価上昇率低下よりもルーブル高抑制を優先したことや国内エネルギー価格上昇等によるものである。好調な輸出からルーブル増価圧力が発生しており、政府はルーブル高による輸出競争力の低下を懸念し、大量に外貨購入を行った。しかしこれにより、過剰流動性が十分に抑制されていないことから、年後半以降インフレ率が高まっている。通貨当局はルーブルレート安定化のため、為替政策に通貨バスケット制を導入し、ドルの比率を下げ、貿易量の多いユーロの比率を徐々に上げることを決定しており、ユーロの比率は30%まで高まっている。


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