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付注1 共和分検定による検証

 共和分検定により、名目為替レートと二国間の相対価格比率との関係に定常性、すなわち長期的に安定的な線型関係が成立し得るか(定常性を満たすか)を検定することによって、購買力平価説が成立しているか否かを検定することがある(60)
  ここで、共和分検定とは、自国の物価水準をP、外国の物価水準をP*、名目為替レートをEとした場合、為替と物価が各々I(1)(一階の階差をとれば定常となる)である場合に、変数(水準)間の線形関係が定常性I(0)を満たすかどうか、Dickey and Fullerのunit root(単位根)テスト等を用いて検定するものである。
  具体的には、絶対的購買力平価説が成立していれば実質為替レートが一定となることから、V=E*P/P*=ゼータ(一定)の両辺の対数をとると、関係式:lnE=b1+b2lnP+b3lnP*+イプシロンが得られる。このεが、ホワイト・ノイズ過程に従うような係数ベクトルb=(b1, b2, b3)を共和分ベクトルと呼ぶが、絶対的購買力平価説を仮定するならば、これにb=(lnゼータ,−1,1)という制約を課すこととなる。
  しかしながら、そうした分析結果(61)によると、データの連続性等の問題はあるにせよ、そのような関係が人民元と主要通貨の間で成立しているという仮説は棄却されている。


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