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付注:全要素生産性について

 経済学においては、生産を行う場合に必要なもの(生産要素)として資本と労働を考える。通常、生産するために投入する資本や労働が増加すればそれとともに生産も増加すると考えられる。しかし、生産要素の投入を増加させなくても生産が増加することがある。例えば、技術進歩が起きると、それ以前と同じ生産要素の投入量でより多くの生産を行うことができる。このように、資本と労働の増加によらない生産の増加を表すものは全要素生産性(Total Factor Productivity:TFP)と呼ばれる。TFPは、具体的には、技術進歩、効率化などを表すと考えられる。
 以下では、具体的にコブ=ダグラス型生産関数を想定して、TFPをどのように計測するかを考えてみよう。

数式1

ここで、Y:生産量、L:就業者数、H:労働時間、K:資本ストック、S:資本稼動率、A:全要素生産性(TFP)、α:資本分配率とする。

(1)の両辺を総労働投入LHで除し、対数をとると、

数式2

一般に、ある変数Xについて、その対数について、時間tについて微分した場合、

数式3となる。

 ここで、数式4である。

したがって、(2)を時間tについて微分し、各変数の変化率をで表すと、

数式5

と書ける。すなわち、時間あたりの労働生産性上昇率は、TFP上昇率と単位労働あたり稼動資本ストックの増加率に資本分配率をかけたものとの和に等しいことがわかる。

また、TFP上昇率は、(3)から

数式6

となり、

数式7

と書ける。すなわち、

TFP上昇率 =(生産の伸び率)
  −(資本分配率)×(稼動資本ストックの伸び率)
  −(労働分配率)×(総労働投入の伸び率)

として求めることができる。

(参考文献)
内閣府(2001)「平成13年度 年次経済財政報告」財務省印刷局
内閣府(2002)「平成14年度 年次経済財政報告」財務省印刷局


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