<2002年の経済>
2002年の経済成長率は、3.5%となり、2001年のマイナス成長から回復した。対中投資拡大に伴う国内産業の空洞化の進行により、個人消費や民間投資の回復は緩やかなものにとどまった。それでも、IT関連を中心に中国向け輸出が大幅に増加したことなどから、年後半にかけて成長率は高まり、4%台で推移した。
<2003年の経済見通し>
2003年は緩やかな景気拡大が続き、4%程度の成長になると見込まれる(台湾当局見通し3.7%、民間機関25社の平均3.4%(2003年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2002年10月時点3.8%)に比べて下方修正されている。
成長を支える要因としては、引き続き中国向けを中心に輸出が成長を牽引する一方、個人消費や民間投資の増加も見込まれる。ただし、中国への生産移転による産業空洞化が進む中、雇用・所得環境の大幅な改善は期待できず、景気の拡大ペースは緩やかなものになると予想される。
下方リスクとしては、アメリカ経済の先行き如何によっては世界経済の回復が停滞し、輸出の鈍化が懸念される。また、重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響で、アジア域内の貿易が停滞し、その他にも、航空、流通、観光部門に悪影響を及ぼすことが考えられる。
<財政金融政策の動向>
財政面では赤字が続いており、中央政府債務残高も2001年にはGDP比28.7%となった。公債発行は法律で制限されており、緊縮的な財政運営を行っている。2003年度予算においても、中央政府支出は前年比2.6%削減となった。これに対し当局は、景気対策として200億元(GDP比0.2%)の「公共サービス就業拡大方案」及び500億元(GDP比0.5%)の「公共建設拡大経済振興計画」を追加予算(当初予算比4.4%増)として要求しており、12万2千人の就業機会創出によって1年後の失業率4.5%達成を目指している。
金融政策については、中央銀行は安定的な経済成長を目指し、引き続き金融緩和を行っている。公定歩合は2002年6月、11月にそれぞれ2.5%ポイントずつ引下げが行われ1.625%となり、過去最低が続いている。