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19  ロシア連邦    Russian Federation

ロシア経済のこれまで

<2002年の経済>
 2002年の経済成長率は4.3%となり、4年連続のプラス成長を達成した。98年の金融危機以降回復傾向が続いている。しかし、経済成長率は前年の5.0%を下回り、成長率の伸びは鈍化している。この成長は、主としてエネルギー部門の輸出増加に支えられたものである。金融危機以降、ルーブル切り下げの効果により国内産業は回復し、固定投資は高い伸びを続けてきたが、2002年は前年比0.6%と前年の8.7%を大きく下回った。

<2003年の経済見通し>
 2003年の経済成長率は4%台前半の経済成長が見込まれる。一方、民間機関4社による見通しは平均4.4%となり、2002年10月時点の4.3%からやや上方修正されておおむね安定した成長を続けるとみられている。なお、政府は中期の社会経済発展計画において2003年の経済成長率は4.5%を見込んでいる。
 成長を支える要因としては、エネルギー価格が高い水準で推移することによる投資の増加や、失業率の低下、可処分所得の増加等を背景にした個人消費の増加等が挙げられる。
 下方リスクとしては、世界経済の更なる回復の遅れによって、輸出が伸び悩む可能性等が挙げられる。
 一方、石油・天然ガス等のエネルギー部門は輸出総額の約60%、GDPの約40%を占めており、ロシア経済に大きな影響を及ぼすことから、その動向には注意が必要である。また、消費の増加により輸入が拡大する一方で、ルーブルの切り下げの効果が弱まる中、国内の工業生産は低下傾向にある。エネルギー産業に依存した経済構造を内需主導型に移行させるため、プーチン大統領は就任以来、経済構造改革に積極的に取り組んでおり、その進展が注目される。

ロシアの主要経済指標

<財政金融政策の動向>
 2002年の財政収支は原油価格の上昇を背景として対GDP比1.4%の黒字となり、2001年に続いて2年連続の財政黒字を達成した。2003年度予算においては同0.6%相当の財政黒字が見込まれている。
 2003年は対外債務返済のピークとなっているが、財政黒字を債務返済に充てるほか、政府は返済用の財政準備金を確保しており、また、2002年末に連邦政府が売却した国有石油会社スラブネフチ、ルクオイルの株式売却収入も組み込まれることから、対外債務履行に問題はないとする見方が有力である。
 金融政策では、これまで政府は輸出振興の目的から為替レートの安定を図るために、外国市場で大幅なドル買いを行ってきた。マネーサプライは前年の伸びは下回ったものの、依然大きく増加しており、2002年の消費者物価上昇率は15.1%となってインフレ目標(14%)を達成することはできなかった。このような状況を受けて中央銀行は、ルーブル高抑制を中心とするこれまでの方針を転換して、今後はインフレの抑制を最優先課題とするとしている。


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