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17  イタリア    Republic of Italy

イタリア経済のこれまで

<2002年の経済>
 2002年の経済成長率は0.4%となり、前年よりも1%ポイント以上減速した。成長率が低下したのは、世界経済の回復の弱さおよびユーロ高の影響等から輸出が減少に転じ、個人消費や設備投資の伸びが大幅に鈍化したことなどによるものである。
 景気減速や公共料金の引き上げ凍結措置等にもかかわらず、原油価格の上昇や天候不順による農産品価格の上昇等の影響から、消費者物価上昇率は前年比2.5%と引き続き高い伸びが続いた。雇用面では、労働市場の構造改革の進展を反映して、景気減速下においても雇用者数は増加し、失業率は低下し続けた。

イタリアの主要経済指標

<2003年の経済見通し>
 2003年の経済成長率は、1%程度となる見込みである(民間機関5社の平均値1.0%、2003年4月時点)。民間機関の見通しは、昨年秋(1.8%)に比べ下方修正されている。成長を支える要因としては、失業率の低下が続くと見込まれることに加えて、所得税減税による可処分所得の伸び等によって個人消費の回復が期待されることや、年後半には世界経済の緩やかな回復に支えられて輸出も回復することなどが挙げられる。また投資促進税制により企業の設備投資も増加することが期待されている。金利が低水準となっていることも内需下支え要因となりうる。ユーロ高効果の浸透などから、インフレ圧力は徐々に低下し物価は安定に向かうと見込まれる。
 下方リスクとしては、欧米株式市場の下落等を背景に世界経済の回復に不透明感が増しており、輸出の回復が遅れる可能性などが懸念材料として挙げられる。

<財政政策の動向>
 政府は、2003年の財政収支赤字をGDP比1.5%と2002年の2.3%より大幅に改善するように見込んでいるが、これは経済成長率が2%程度に達することを前提としたものである。2002年9月に発表された2003年予算案では、低所得者層に対する所得税減税や法人税率の引下げ(36%から34%へ)など約75億ユーロ(GDP比0.8%)の減税が盛り込まれており、景気回復を下支えると期待されている。また財政赤字削減のため、地方政府への交付予算額の削減のほか、国有資産の売却・証券化や、地下経済対策として脱税者に対して処罰を免除する代わりに過去の脱税分を納税させることによる税の増収等が挙げられている。以上のように、減税については恒久的なものを計画通りに実施しているが、歳入増はいずれも一時的措置に依存しているものが多い。政府の経済財政計画では2006年までに財政均衡が達成されることになっているが、欧州委員会は、追加的な財政赤字削減策が実施されない場合には、2004年の財政赤字はGDP比3.0%に達するだろうと予測している。


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