<2002年の経済>
2002年の経済成長率は、0.2%となった。これは、東西ドイツ統一以来2番目の低成長である。年前半には、2001年4〜6月期以降の3期連続マイナス成長からプラス成長へ転じたものの、そのテンポは緩やかとなった。2002年後半は、株安、企業収益と景況感の悪化、消費マインドの停滞等に加え8月の洪水による生産、消費への影響もあって景気は減速し、弱い状態が続いている。失業率は2002年を通じて上昇基調を示した。輸出はアメリカを始め域外輸出の伸びが
鈍化した。他方、内需が弱いことから輸入は前年比マイナスとなり、これによって貿易収支及び経常収支の黒字は増加した。
<2003年の経済見通し>
2003年は0.5%程度の成長が見込まれる。政府は2002年秋季見通しで2003年の成長率を1.5%としていたが、2003年2月には早くも1.0%へと下方修正を行った。さらに、6大経済研究所の春季合同経済予測では、2002年10月の前回予測値1.4%から0.5%へ大幅な下方修正を行っており、当面景気は厳しい状況が続くとの見方が大勢となっている。
成長を支える要因としては、世界経済の回復につれて輸出が回復すれば、それによる企業及び消費者マインドの改善から投資や消費への好影響が挙げられる。
下方リスクとしては、このところの失業率の高まりや、それに伴う消費者マインドの悪化による消費への抑制的な影響などから景気回復を遅らせる可能性がある。また、企業景況感は2003年に入り改善の兆しもみられるが、水準は低く、長期化している投資の停滞からの脱却には時間を要する可能性がある。
<財政政策の動向>
ドイツ統一以来財政赤字が続いている。97年以降は一般政府財政赤字の対名目GDP比率を3%以内に抑え込んできたが、景気の低迷と法人税減税による税収減等から2002年には3.6%となり、「安定と成長の協定」で定めた遵守基準(3%)を超過した。ドイツ政府は、2006年までに収支を均衡させるとしているものの、2003年の景気回復力は弱いとみられており、税収の増加も期待できないため、厳しい財政運営を迫られるものとみられる。政府債務残高はここ数年、対GDP比でおおむね60%を維持しており、2003年にはわずかに上昇し61〜63%程度になるとみられている。