<2002年の経済>
2002年のカナダ経済は2001年後半からの景気回復が拡大に転じ、前年比3.4%の成長となった。特に1〜3月期から7〜9月期までの成長率はいずれも年率3%を超える高い伸びを示した。この成長を支えた要因としては、個人消費と住宅投資を中心にした強い国内需要が挙げられる。この成長に伴って、雇用者数も着実な伸びを示した。しかし、10〜12月期には輸出が大幅に減少したことなどの影響を受け、成長率が年率1.6%と緩やかな伸びになった。他方、成長が鈍化するなかで、消費者物価上昇率が2002年10月以降インフレ・ターゲットの目標レンジ1〜3%を超えて推移した。消費者物価上昇率は2003年に入っても前年同月比3%を大幅に超えて推移しており、これはエネルギー価格のみならず、運輸サービス価格等の上昇によるものである。
<2003年の経済見通し>
2003年は3%程度の比較的堅調な成長が見込まれる(IMF見通し2.8%(2003年4月)、民間機関23社の平均3.0%(2003年4月時点))。民間機関見通しは、半年前(2002年10月時点3.4%)に比べて下方修正されている。
成長を支える要因としては、堅調な消費や投資などの内需と、アメリカ経済の回復による輸出の増加等が挙げられる。
下方リスクとして、アメリカ経済の回復力が弱まる場合、輸出が減少する恐れがある。
<財政金融政策の動向>
94年度から本格的な財政再建に取り組んだカナダ政府は、2003年2月に公表した2003年度の予算案でも97年度以降連続となる均衡予算を組んでおり、今後も均衡予算を続けていくとしている。2003年度予算案では歳出が2.8%増の1,807億カナダ・ドル、歳入が3.4%増の1,847億カナダ・ドルとなる見込みである。
カナダ中央銀行は、2002年7月に0.25%ポイントの利上げを行って以降、地政学的リスクによる不透明感の増大等から金利を据え置いていた。しかし、消費者物価上昇率が2003年1月に前年同月比4.5%となるなど高い上昇を続けたことから、3月4日に金利を0.25%ポイント引き上げ、オーバーナイト金利を3.00%とした。
その後、地政学的リスクの減少と原油価格の下落といった国際経済環境の改善を受けて、4月15日に金利をさらに0.25%ポイント引き上げ、オーバーナイト金利を3.25%とした。