<2002年の経済>
2001/2002年度(2001年7月〜2002年6月)の経済成長率は前年度比4.0%となり、景気は拡大した。干ばつの影響により農業物の生産高が落ち込み、主要貿易相手国である日米両国への輸出が減少したものの、個人消費や民間投資など内需を中心として、先進国の中では比較的堅調な成長を遂げた。
<2003年の経済見通し>
政府は昨年11月末に世界経済の回復が弱いこと、干ばつによる農作物の被害など影響から、02/03年度の実質GDP成長率見通しを3.75%から3.0%に下方修正したが、それでも景気拡大が持続し、3%台の成長になると見込まれる(政府見通し3.0%(2002/2003年度)、民間機関23社の平均3.1%(2003年4月時点)。民間見通しは半年前(2002年10月時点3.7%)に比べて下方修正されている。
成長を支える要因としては、物価の安定や失業率の低下、低金利、住宅価格等資産価格の上昇による資産効果などを背景に個人消費や企業投資が着実に増加することなどが挙げられる。
下方リスクとしては、干ばつの影響から農業所得が伸び悩み消費に悪影響を及ぼす可能性、アメリカ経済の回復力が一層弱まる場合には、輸出がさらに減少する恐れなどが挙げられる。
<財政金融政策の動向>
財政は97/98年度以降4年連続で黒字を達成していたが、2001/2002年度は11億豪ドル(GDP比0.2%)の赤字となった。2002/2003年度予算については、再び21億豪ドル(GDP比0.3%)の黒字を見込んでいる。政府は、イラク戦争関連支出の増加を考慮しても、好調な国内経済による堅調な歳入から黒字は達成すると見込んでいる。政府純債務残高は年々低下し、2001/2002年度末には356億豪ドル(GDP比5.0%)、2002/2003年度末には341億豪ドル(GDP比4.5%)となる見込みである。政府は引き続き健全財政路線を維持し、債務削減を図ることとしている。
2002/2003年度の予算は、テロ対策の追加費用や国内・国境警備費を増額するなどの防衛治安分野の強化に重点がおかれている。また、政府は農民層や地方の零細企業を救済するために3年で総額3.7億豪ドル(約250億円)の支援策を講じ、所得補償を行っている。
金融政策については、オーストラリア準備銀行は2002年は5、6月と2か月連続でキャッシュレートの誘導目標水準を0.25%ポイントずつ引き上げ、4.75%とした。同行は、2002年7月以降は、金利を据え置き、世界経済の動向を様子見している。2002年の消費者物価上昇率は、3.0%となっており、インフレターゲット2〜3%の範囲内に収まっている。同行は2003年の消費者物価上昇率を2.5%と予想している。