<2002年度の経済>
2002年度の経済成長率は、4.4%(実績見込み)となった。2002年度の動向をみると、製造業、サービス業の生産が好調であったものの、天候不順(干ばつ)の影響から農業生産が不振となり、成長率は2001年度に比べ低下した。
製造業生産の内訳をみると、財別では資本財と非耐久消費財を中心に増加した。業種別にみると、輸送機器、鉄鋼、セメント、繊維などが堅調な伸びを示した。
サービス業の内訳をみると、貿易、ホテル、運輸通信、金融、不動産業などが増加した。
<2003年度の経済見通し>
2003年度の経済は、ソフトウエア産業等サービス部門の引き続く好調と製造業部門の生産増加、及び2002年度に天候不順により減少となった農業が回復すると予想されることから5〜6%の成長が見込まれる(民間機関4社の平均見通し5.6%(2003年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2002年10月時点5.6%)と同レベルである。
下方リスクとしては、欧米諸国の景気回復の遅れによる輸出の伸び悩み(特にIT関連ソフトウエア)や構造改革の遅れによる海外からの投資の停滞などが懸念される。
<財政金融政策の動向>
財政政策をみると、2003年度予算は、歳入が前年度実績見込比12.2%増(当初予算比6.5%増)、歳出が同8.6%増(当初予算比6.5%増)となった。この結果、財政赤字のGDP比(目標値)は、5.6%に設定された(2002年度は目標値5.3%、実績見込み値5.9%)。予算の重点項目としては、(i)貧困撲滅、(ii)インフラ整備、(iii)財政再建、(iv)農業改革、(v)製造業強化などとなっている。予算案に併せて発表された税制改正についてみると、関税、物品税の一部が引き下げられることになったが、所得税の引き下げは見送られた。
政府は、2002年10月、2002年度から2006年度にまたがる第10次5か年計画を閣議決定した。主な計画目標は、(i)雇用創出、(ii)貧困撲滅、(iii)児童就学率の向上、(iv)農村部での飲料水の普及、(v)幼児死亡率の改善などである。主な数値目標をみると、GDP成長率8%、財政赤字はGDP比8.6%(中央政府5.2%、州政府3.4%)などとなっている。
金融政策をみると、引き続き緩和策をとっている。中央銀行は2002年10月末に金融政策の中間見直しを行い、一段の金利引下げを発表した。主な内容は、(i)公定歩合を0.25%引下げて6.25%とする(10月30日実施)、(ii)中央銀行と商業銀行の間のレポレートを0.25%引下げて5.5%とする(10月30日実施)、(iii)現金準備率を0.25%引下げて4.75%とする(11月16日実施)などである。