<2001年の経済>
2001年の経済成長率はマイナス1.9%となり、戦後初めてのマイナス成長となった。アメリカ経済減速の影響を受けて、IT関連部門を中心に輸出や設備投資が大幅に減少した上、個人消費も鈍化した。第3四半期には実質GDPが前年同期比4.2%減となるなど景気後退が鮮明となった。その後、民間消費やIT関連輸出に持ち直しの動きがみられ、第4四半期は同1.9%減となりマイナス幅が縮小した。
<2002年の経済見通し>
2002年に景気は持ち直し、2%程度の成長になると見込まれる(台湾当局見通し2.3%、民間機関25社の平均2.5%(2002年4月時点))。民間期間の見通しは、半年前(2001年10月時点2.2%)に比べて上方修正されている。
回復を支える要因としては、アメリカ経済が予想を上回る回復をみせていることから、輸出主導になると見込まれる。ただし、不振の民間投資の回復は年後半になるとみられることから、景気回復は緩やかなものになると考えられる。
下方リスクとしては、アメリカ経済がダブルディップに陥る場合、輸出の回復が遅れる可能性が挙げられる。また中国に続く2002年1月のWTO加盟は、対中貿易を活発にする反面、企業の中国への生産移転を加速するとみられ、労働市場に悪影響をもたらすことも考えられる。
<財政金融政策の動向>
財政面では、赤字が続くなか、政府債務も増加傾向にあり、2000年にはGDP比26.8%に達している。こうした状況のなか、与野党の対立もあり、これまで機動的な財政出動は行われてこなかった。しかし2001年12月の立法院総選挙で、景気対策重視の与党民進党が第一党となったことから、今後の財政支出拡大が期待されている。陳水扁総統は昨年9月、今年以降5年間にわたる毎年1,000台湾億元(約30億ドル、GDP比1.0%)の公共投資拡大策を発表しており、財源には公債発行限度額(歳出の15%)の引上げ等が議論されている。
金融政策については、中央銀行は景気刺激の観点から、金融緩和を行っている。2001年は11回、合計2.5%ポイントの公定歩合の引き下げが実施され、過去最低の2.125%となった。中央銀行は利下げによる銀行貸出の増加をねらっているが、不良債権の増加を背景に、貸出は減少しているのが現状である。このため、マネーサプライ(M2)の伸びは、中央銀行の目標レンジ内(2002年は3.5〜8.5%)で推移しているものの、このところ鈍化が続いている。