<2001年の経済>
2001年の経済成長率は3.0%となり、2000年の9.3%から大幅に低下した。アメリカ経済減速の影響を受けて、IT関連部門を中心に輸出や設備投資が大幅に減少したことが主な要因である。そうしたなかで、政府の景気対策による失業率の低下や公共事業の増加等を背景に、個人消費や建設投資が底堅く推移し、景気を下支えした。第3四半期の実質GDPは前年同期比1.9%増となったが、第4四半期には輸出や設備投資に下げ止まりの動きがみられたことから、同3.7%増に高まった。
<2002年の経済見通し>
2002年は景気回復が本格化し、5%超の成長になると見込まれる(政府見通し5%台、民間機関25社の平均4.5%(2002年4月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2001年10月時点3.6%)に比べて上方修正されている。
成長を支える要因としては、年初からの減税実施等を背景に、引き続き個人消費が堅調に推移するとみられるほか、アメリカ景気が予想を上回る回復をみせていることから、輸出の本格的な回復が見込まれる。下方リスクとしては、過度の円安の進行やアメリカ景気がダブルディップに陥ることによる輸出の伸び悩みから、韓国経済の成長率が低下する可能性が挙げられる。
<財政金融政策の動向>
財政については、通貨・金融危機を受けて97年以降財政赤字が続く一方、政府債務も大幅に増加し、2000年末には中央政府債務は100.9兆ウォン(GDP比19.3%)に達した。政府は2003年を目処に財政均衡を目指していたが、危機からの回復に伴い税収が予想以上に増加したこと等から2000年には黒字となった。2001年も黒字となったとみられるのに続き、2002年度予算でもGDP比1%の黒字を見込んでいる。景気対策としては、2001年度は5.1兆ウォンの第一次補正予算に続き、同時多発テロを受けて1.6兆ウォンの第二次補正予算が編成された。また、11月に特別消費税の引下げが実施されたのに続き、2002年度から所得税率の平均10%引下げ、法人税率の1%ポイント引下げ等が実施されている。
金融政策については、韓国銀行はコールレートの誘導目標水準を2001年内に合計1.25%ポイント引き下げた。9月には、同時多発テロ後の金融市場の混乱回避を目的に、0.5%ポイントの引下げが行われた。その後は景気回復の動きがみられるものの、これまでのところ金利は据え置かれている。インフレターゲットの基準となるコアCPIをみると、2002年に入ると3%前後で推移しており、ターゲット(2002年は3.0±1%)の範囲内で推移している。一方で、低金利に伴う家計への貸出増加を背景に、株価や不動産価格が上昇していることや、2002年に入り原油価格にも不安定な動きがみられることから、韓国銀行は、今後景気回復が鮮明になった場合、インフレ圧力が高まる懸念があるとして注意を払っている。