<2001年の経済>
アメリカと日本の景気減速等から輸出が減少に転じたため2001年の景気は後退した。同年後半からは、アメリカの同時多発テロの影響も加わり経済成長率はマイナスが続いていた。
香港では輸出が経済を牽引しているが、アメリカ向けに地場および中国からの再輸出がともに不振となったことから、2001年の輸出額は前年比2.1%の減少となった。これに伴い失業率も第4四半期には6.1%と上昇し、個人消費が低迷している。
物価をみると、消費者物価上昇率は中国本土からの低価格製品の流入等から2001年には前年比1.6%の低下となるなど、引き続きデフレが続いていた。
<2002年の経済見通し>
2002年後半には景気が回復し、通年では1%超の成長になると見込まれる(政府見通し1%、民間機関の平均1.7%(2002年4月時点)。民間機関の見通しは、半年前(2001年10月時点2.5%)に比べて下方修正されている。
下方リスクとしては、香港の中継貿易港としての機能の縮小から、アメリカ経済の回復があっても中国本土からの再輸出の伸びが従来ほど見込めず、今までのような輸出の増加が期待できない。また、中国本土経済との一体化によって賃金や不動産価格の低下が加速しデフレ圧力が高まっている。このため域内需要の低迷と失業率の高止まりが今後も続く可能性が高いことなどが挙げられる。
<財政金融政策の動向>
2001年度(2001年4月〜02年3月)の連結財政収支は656億香港ドルの赤字が見込まれている。2002年度の予算案では、財政再建のための消費税導入も検討されたが、厳しい経済情勢を反映して見送られた。政府は景気回復のため、不動産税の納税免除水準の引き上げ、同税の1年間支払い免除(影響する範囲は納税者の約85%である230万人に及ぶ)を発表している。一方、2006年までに財政収支を均衡させる目標の一環として、政府は2002年にはワイン税の引き上げ、煙草、酒に対する免税枠の削減を行い、同年の財政赤字を452億香港ドルと見込んでいる。
金融政策についてみると、香港金融管理局(中央銀行に相当)はアメリカの政策金利引き下げに追随して、基準貸出金利を2001年中に数度にわたり引き下げ、3.25%とした。