<2001年の経済>
2001年の経済成長率は3.3%となり、前年の4.8%より減速したものの、他のアジア経済に比べて堅調さを維持した。世界景気の減速から通関ベースの輸出が大きく減少したのに対し、民間消費が堅調に推移した。しかし、10〜12月期の成長率はそれまでに比べて大幅に減速しており、アメリカで起きた同時多発テロにより輸出の減少幅が最大となった影響等が現れた。一方、石油等各種燃料価格の平均30%引上げが6月から実施されるなど、財政赤字削減のための公共料金引上げが行われ、消費者物価は前年比11.5%の上昇となった。
<2002年の経済見通し>
3〜4%程度の成長になると見込まれる(政府見通し3〜4%、民間機関7社の平均3.5%(2002年4月時点)。民間機関の見通しは、半年前(2001年10月時点3.0%)から上方修正されている。
成長を支える要因としては、主要輸出先であるアメリカの景気回復により輸出が回復すること、政府の資産売却や国際機関・海外援助国からの援助継続等が挙げられる。
下方リスクとしては、2002年1月に再度実施された燃料価格の引上げによるインフレ率の高まり、構造改革の遅れ等から海外投資家の信用が失われた場合には、通貨減価及びさらなるインフレを招くこと、消費者や企業のマインド悪化による内需の減少等が懸念される。
<財政金融政策の動向>
財政は97年度以降赤字が続いている。政府は財政赤字削減を目指しており、2002年度予算では財政赤字はGDP比2.5%と、前年度の同3.7%よりも縮小を見込んでいる。歳出抑制策として石油事業等への補助金支出削減を盛り込み、そのための公共料金引上げが決定された。その結果、昨年6月に次いで再度の石油等燃料価格の平均22%引上げが2002年1月から実施された。また、国有企業の売却による財政補填も予定されている。昨年度から今年度にずれこんでいた国有銀行バンク・セントラル・アジアの株式51%の売却先が3月に決定し、今後もさらに銀行や通信社等の政府保有株式が売却される見込みである。政府は融資を受けるためにIMFと経済財政改革に関する覚書を交わしており(最新2001年12月)、国有資産売却はその条件の一つとなっている。
金融政策については、2001年には近隣の東アジア諸国が景気下支えのための利下げを行っている中で、インドネシアでも輸出低迷による景気への影響が懸念されていたが、公共料金の大幅引上げや通貨ルピアの下落によりインフレ率が高まっていたため、中央銀行は引き締め政策を維持していた。2002年になって中央銀行は緩和に転じており、中銀証券(SBI)金利(1ヶ月物)は2001年末の17.62%から2002年3月末には16.76%まで低下している。