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9  タイ    The Kingdom of Thailand

タイ経済のこれまで

<2001年の経済>
 2001年の経済成長率は1.8%となり、前年の4.6%よりも大幅に減速した。主要な輸出先であるアメリカや日本の景気後退により輸出が減少し、電子・電気製品等輸出向けを中心に製造業の不振が続いた。一方、個人消費が堅調な伸びを示した。また、民間投資は設備投資が前年よりも大きく減速したものの、年後半から建設投資が回復したことなどもあり、通年ではわずかながら増加を示した。

<2002年の経済見通し>
 景気は回復し、2〜3%程度の成長になると見込まれる(政府見通し2〜3%、民間機関7社の平均2.8%(2002年4月時点)。民間機関の見通しは、半年前(2001年10月時点2.1%)から上方修正されている。

タイの主要経済指標

 成長を支える要因としては、アメリカを中心とする世界経済の回復やIT需要回復が輸出を増加させ、製造業部門の回復につながること、低金利を背景として個人消費が引き続き堅調に推移すること、政府の景気刺激策による総固定資本形成の伸び等が挙げられる。
 下方リスクとしては、不良債権問題の悪化や処理の遅れが、企業マインド低下や金融機関の貸し渋り等につながり景気回復を阻害すること、主要輸出先である日本の景気動向の不透明さ、中国のWTO加盟によるタイ輸出品の競争力低下から過去のような輸出の伸びが見込めない可能性等が挙げられる。

<財政金融政策の動向>
 財政は97年度から赤字が続いている。政府は今年度(2001年10月〜2002年9月)景気対策のための580億バーツ(GDP比1.1%)の緊急予算を計上しており、財政赤字はさらに拡大すると見込まれる。政府債務残高は通貨危機の際に海外からの借入れを行ったために97年以降急激に増加している。
 金融政策については、2001年に進んだバーツ減価に対する外国資本流出抑制による為替レート安定策として、2001年6月に政策金利の1%ポイント引上げを行った。しかしながら、国内景気が減速する中での金融引締め政策はIMFなどの批判を招いた。その後2001年末にかけて景気の減速が顕著になると、中央銀行は金融緩和に転じ、2001年12月及び2002年1月の2回にわたり政策金利である14日物レポ金利を合計0.5%ポイント引き下げ、2.0%とした。為替レートは2001年夏から安定化に向かっている。


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