<2001年の経済>
2000/2001年度(2000年7月〜2001年6月)の経済成長率は前年度比1.8%となり、91年度以来の低い成長となった。これは、2000年7月に導入された10%の財・サービス税(GST)の影響などにより、個人消費が減速し、民間投資が大幅に減少したためである。2001年央からは、個人消費の持ち直しや、低金利や政府の新規住宅購入者補助制度によって民間住宅投資が増加に転じたことから、景気は回復した。
<2002年の経済見通し>
景気回復が持続し、3%台の成長になると見込まれる(政府見通し3%(2001/2002年度)、民間機関22社の平均3.6%(2002年4月時点)。民間機関の見通しは、半年前(2001年10月時点3.3%) と比べて上方修正されている。
成長を支える要因としては、物価の安定や失業率の低下を背景に個人消費が堅調に推移するほか、民営化や金融市場の規制緩和等の構造改革の成果、豪ドル安が輸出の価格競争力を強めていることなどが挙げられる。
下方リスクとしては、世界経済の回復が弱いものにとどまる場合に輸出が伸び悩む可能性が挙げられる。
<財政金融政策の動向>
財政は97/98年度以降2000/2001年度まで連続して財政黒字を達成しており、政府純債務残高は年々低下し、2000/2001年度末には393億豪ドル(GDP比5.8%)となった。政府は今後もこうした健全財政路線を維持し、債務削減を図ることとしている。2001/2002年度の予算は、景気への配慮から、高齢者への税制優遇措置(所得税非課税枠の引上げ)や一時金の支給、失業者への職業訓練体制の整備などに重点がおかれている。また、前年度に引き続き、法人税の税率引下げ(34%⇒30%)や、新規住宅購入者補助制度(2002年1〜7月まで1万豪ドル支給)を延長することを決定し、これらが歳入を減少させる一方、支出を拡大させる要因となっている。この結果、2001/2002年度の財政収支黒字は5億豪ドル(GDP比0.1%)に減少すると見込まれている。
金融政策については、2001年2月以降12月までに6度にわたり利下げを行い(合計2.0%ポイント)、キャッシュレートの誘導目標水準を4.25%とした。これは、誘導目標の公表が始まった90年以来の最低水準である。2001年末の利下げについて、オーストラリア準備銀行は、国内経済は堅調だが、世界経済の減速が国内に波及するリスクがあり、そのための予防措置として利下げに踏み切ったとしている。こうした金融緩和の動きは、需要の下支えにつながっているとみられる。