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12  インド    India

インド経済のこれまで

<2001年度の経済>
 2001年度(2001年4月〜2002年3月)の経済成長率は5.4%(実績見込み)となり、1991年度以来の低い成長となった2000年度(4.0%)から回復した。これは、国内需要の落ち込みや輸出の不振による工業部門の減速にもかかわらず、天候に恵まれたことによる農業生産の増加によるところが大きい。

インドの主要経済指標

<2002年度の経済見通し>
 2002年度(2002年4月〜2003年3月)は、農業部門の拡大と製造業部門の回復から景気拡大が持続し、5〜6%の成長になると見込まれる。民間機関4社の平均5.8%(2002年4月時点)。民間機関の見通しは、半年前(2001年10月時点5.9%)と比べて下方修正されている。
 成長を支える要因としては、世界経済の回復によるソフトウエア産業を中心とする輸出の回復、好調な農業部門の生産、輸入の自由化や外資規制緩和、税・財政改革等の構造改革が挙げられる。
 下方リスクとしては、世界経済の回復が弱いものにとどまる場合、輸出回復の遅れによる投資の不振が長引くことが挙げられる。

<財政金融政策の動向>
 財政は赤字が続いており、2000年度の赤字幅はGDP比で5.5%、2001年度は5.1%になると見込まれている。政府債務残高も年々増加し、2001年度末には275.6億ドル(GDP比57.4%)に達すると見込まれている。政府は直接税とりわけ個人所得税の税収拡大による歳入の増加及び燃料に対する補助金の削減等を通じた財政赤字の縮小を図ることとしている。
 2002年度の予算については、総額が前年度比で12.5%(補正予算後、当初予算では9.3%)の伸びとなった。歳入面では税収が全体の50%と昨年度とほぼ同水準、公債依存度は約29%となっている。歳出面では利払い費等の義務的歳出が11.8%増(歳出全体の25%)にのぼり財政を圧迫している。この結果、2002年度の財政赤字はGDP比5.3%になるとしている。政策面では所得税に対して5%の上乗せ課税の適用、サービス10業種への新規課税等の税制改革や石油製品の価格管理制度の廃止を通じた補助金の削減等により財政再建を図る。また、電力、道路、鉄道等のインフラ整備への資金の重点配分やハイテク立国を目指した科学技術予算の増額等、経済構造改革を推進する姿勢を示している。
 金融政策については、中央銀行は金融緩和を進めている。公定歩合は2001年中に合計3回引き下げられ6.5%となり、73年以来の低水準になっている。


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