第1章 米国の通商政策による世界経済への影響(付注1)
付注1 関税措置の影響試算について
1.モデルの概要68
試算に用いるNiGEM (National Institute's Global Econometric Model)は、英国国立経済社会研究所(NIESR:National Institute of Economic and Social Research)が開発・提供している世界全体を網羅した多地域型マクロ経済モデルである。主要国の経済は図1のような構造(それ以外の国・地域についてはやや簡素化された構造)となっており、貿易等のフローによって相互に連関しているため、特定国・地域の経済や政策の変化が他の国・地域の経済に与える影響を試算するのに適したモデルである。モデル内の各方程式の基本構造は、短期的なかい離を許容しつつ長期的に均衡に向けて収束していく誤差修正モデルとなっているほか、為替レート等の一部変数は将来の期待を織り込んでフォワードルッキングに決定される形となっている。
今回の試算で焦点を当てた関税については、関税を引き上げた場合、輸出国側の関税込みの輸出物価、輸入国側の関税込みの輸入物価をそれぞれ上昇させ、輸出、輸入の双方を抑制する効果をもたらす構造となっている。ただし、NiGEMには細かな品目別の変数は設定されていないため、具体的な品目別関税措置の影響を直接分析することはできない。

2.試算方法
(1)概要
試算期間を2025年1-3月期以降として、米国の実効関税率(国・地域別)の四半期単位の変化を、米国の国・地域別関税率に対応する変数のショックとして与えることで、その各国・地域経済の諸変数への影響をNiGEM上で試算する。なお、2025年10-12月期以降は同7-9月期の米国の国・地域別関税率が維持されると想定する。
米国の実効関税率(国・地域別)は、米国国際貿易委員会が公表する算出関税額を輸入額で除した値を用いる。
(2)主な前提
試算に当たり、各国・地域の政策変数等について、表2のような前提が置かれている。

3.参考計数
本文に示した各国・地域の輸出入の動向に影響を与える為替変動の試算結果は図3のとおり。
