第1章 中国経済が世界経済に与える影響(付注1-1)

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付注1-1 中国の住宅資産額と負の資産効果の試算方法

1.概要

先行研究(Li (2018))の手法に基づき、同論文で試算された家計の名目住宅資産額を簡易的な恒久棚卸法によって延長試算する。その上で、同試算によって得られた家計の名目住宅資産額の変化率に複数の先行研究から得られた弾力性を乗じて家計消費の変化率を求め、これを住宅資産額の減少に伴う負の資産効果として扱う。

2.データ出所

住宅資産額の試算に当たっては、Li (2018)による2014年末の家計の名目住宅資産額の試算値、中国国家統計局による年次の住宅販売面積及び面積当たり住宅販売価格、月次の住宅販売面積及び住宅販売価格を用いた。

また、負の資産効果の試算に用いた先行研究における住宅資産額に対する家計消費の弾力性は以下のとおり。

3.試算方法

(1)住宅資産額

Li (2018)における2014年末の家計の名目住宅資産額を出発点に、下式により2024年6月末までの家計の名目住宅資産額を試算する。減耗率(δ)はLi (2018)と同様に年率2.4%で一定とする。2023年末までの期間については年次データ、2023年末から2024年6月末までの期間については月次データを用いて試算する。

NDt=PtRDt=Pt(RDt-1(1-δ)+It)

NDtt年末の名目住宅資産額

Ptt年の面積当たり住宅販売価格

RDtt年末の住宅資産面積

δ:減耗率

Itt年の住宅投資面積

(2)負の資産効果

(1)で試算した家計の名目住宅資産額の変化率に上述の先行研究における弾力性を乗じて求めた名目家計消費の変化率を負の資産効果とする。

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