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第1章 世界経済の回復の潮目の変化

第1節 世界経済の概観

2.欧米では失業率は高止まり、信用収縮も継続

  欧米では、こうした景気回復の動きの一方で、失業率の高止まりや信用収縮の継続等、世界金融危機発生後に生じた景気の下押し圧力は依然として大きい状態が続いている。
  アメリカでは、雇用者数は緩やかに増加しているが、失業率は10%近い高水準が続いている(第1-1-2図)。ヨーロッパでは、失業率は、ドイツや英国では低下するなど国により状況に差がみられるものの、ユーロ圏全体でみると10%近傍で高止まっている。
  また、アメリカでは、間接金融を中心に信用収縮が続いており、銀行貸出残高をみると、08年末以降からの貸出残高の大幅な減少傾向が依然として続いている(第1-1-3図)。また、証券化商品市場についても、回復がみられない(第1-1-4図)。アメリカの家計は、2000年代に入り、住宅価格の上昇を背景とした借入れの増加等により消費を拡大してきたが、世界金融危機発生後は、債務を削減しバランスシート調整を進める動きが進展しており、消費の下押し圧力となっている。ヨーロッパにおいても、特に、スペインやアイルランド等住宅バブルの崩壊を経験した国において、家計や企業のバランスシート調整による景気の下押し圧力が深刻なものとなっている。


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