第3章 世界経済の見通しとリスク |
第2節 ヨーロッパ経済の見通しとリスク
1.経済見通し(メインシナリオ)― 持ち直しのスピードは非常に緩やか
ヨーロッパの景気は、引き続き深刻な状況にあるが、政策効果(1)もあり下げ止まっている。ただし、国ごとの状況にはばらつきがあり、09 年7〜9月期の成長率は、ユーロ圏、ドイツ、フランス、イタリアはプラス成長に転じる一方で、スペイン、英国ではマイナス成長が続いている。
先行きについては、景気は緩やかな持ち直しに向かうと見込まれるが、自動車買換え支援策の反動や信用収縮、雇用の悪化により、そのペースは極めて緩慢なものとなり、10年全体の実質経済成長率は1%未満になると見込まれる。内外需に分けてこの背景をみると、まず内需については、雇用の悪化による消費の下押し圧力が強い。失業率は10%を超えて上昇し、11年には過去約20年で最高水準(2)に達する見込みである。また、過去の景気回復局面において回復をけん引した外需についても、アジア向けは持ち直しているものの、主要輸出先であるアメリカ向けや近年シェアを高めているロシア、中・東欧(3)向け輸出の本格回復には時間がかかるとみられることから、輸出の伸びは緩やかなものにとどまると見込まれる(第3-2-1図、第3-2-2表)。