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18 ロシア連邦     Russian Federation

ロシア経済のこれまで

<2007年の経済>
 経済成長率は、2007年1〜3月期前年同期比7.9%、4〜6月期同7.8%と内需にけん引された高い伸びが続いている。07年通年では7%台前半の伸びとなり、06年(6.7%)よりやや高まる見込みである(政府見通し7.3%(07年9月)、民間機関7社の平均7.2%程度(07年10月))。4〜6月期の需要項目の動きをみると、個人消費は所得の大幅な増加(実質可処分所得は07年1〜10月期前年同期比12.6%増)を反映して同12.2%増と04年以降の二桁の増勢を維持した。固定投資はエネルギー採掘、道路%空港・教育施設、農畜産、食品、住宅等への投資増加を中心に同22.9%増と著しく加速した。外需では、財・サービス輸出が4〜6月期同5.2%増(06年年間では前年比7.2%増)と堅調に増加したものの、財・サービス輸入が同25.8%増(同じく21.7%増)と大幅に拡大したため、純輸出の黒字は大きく減少し(前年同期比▲25.1%)、寄与度はマイナスとなったとみられる。
 消費者物価上昇率は、06年前半には前年同月比一桁台まで鈍化し、さらに07年前半も鈍化基調が続いたが、年後半から食品価格等の上昇から再び加速して、10月には前年同月比10.8%と二桁台の上昇に戻った。食品を除く消費者物価上昇率は、比較的安定している。
 雇用情勢は改善を続けており、失業率は10月には5.8%(未季調値)まで低下している。

ロシアの主要経済指標

 貿易(財・通関ベース・ドル建)をみると、07年1〜9月期に、輸出は石油価格の底固い動き(ロシアのマーカー原油であるウラル産原油の期中平均価格は63.9ドル/バレル、06年同期は62.7ドル/バレル)と世界景気の継続回復を背景とした輸出需要により前年同期比10.4%増と堅調に増加する一方、輸入は投資の活発化や引き続く消費拡大により同36.3%増と著しく高まった結果、貿易黒字額は前年同期より177億ドル減少して935億ドルとなった。また、同期間の経常収支黒字も220億ドル減少し、571億ドルとなった。外貨準備高は、経常収支黒字の継続や株式公開による資本流入等を背景に引き続き増加し、07年10月末時点で4,470億ドルとなった。


<2008年の経済見通し>
 2008年の経済成長率は、6%台半ばにやや減速すると見込まれる(政府見通し6.4%(07年9月)、民間機関7社の平均6.3%)。引き続き内需の個人消費や固定投資が成長をけん引するとみられる。08年の消費者物価上昇率は一桁台へと減速する見通しである。こうした見方に対するリスクとしては、石油価格の高値持続(見通しでは08年のウラル産原油価格は62ドル/バレル)、所得の引き続く力強い拡大、直接投資拡大等を背景に個人消費や固定投資が想定以上に拡大して経済成長が上振れする可能性がある。また、マネーサプライ(M2)増加率が極めて高い伸びを続けるなど、過剰流動性を抑制できない場合にはインフレが再加速するリスクがある。

<財政政策の動向>
 2007年7月に、ロシアとして初の複数年にまたがる2008〜10年予算が議会で承認、成立した。今後毎年、財政の効率性向上、安定性確保を目指して向こう3か年を対象とする予算が編成される。08〜10年予算から石油・天然ガスに関する輸出税・資源採掘税の税収を一般の歳入と切り離して扱う「石油ガス予算」の仕組みが導入されており、エネルギー価格の変動によって財政が左右されない仕組みが導入された。08年2月から、「安定化基金」(石油輸出関税及び天然資源採掘税収のうち石油価格が基準価格を超過して生じた部分を本基金に繰り入れ、財政安定化を目指したもの)が「準備基金」と「国民福祉基金」に分割される予定であり、「石油ガス予算」の制度の下で、石油・天然ガス部門からの歳入は、(1)まず、石油ガス収入を除く一般財政赤字を補填し、その後、(2)準備基金が所定額に達するまで積立て、さらに、(3)残りの分を国民福祉基金に繰り入れて、年金基金への拠出や開発金融等に振り向けることになっている。


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