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2 カナダ     Canada

カナダ経済のこれまで

<2007年の経済>
 2007年の経済成長率は、2%台前半から半ばとなる見込みである(政府見通し2.3%、民間機関21社の平均2.5%(07年11月時点))。民間機関の見通しは、07年4月時点(2.4%)と同程度の水準となっている。07年前半のカナダ経済は、力強い成長となった。1〜3月期は良好な雇用環境を背景に、個人消費を中心として国内需要が堅調であったことから、前期比年率3.5%の成長となった。4〜6月期も引き続き堅調な成長を続け同3.8%となったが、これは、所得の伸びなどにより個人消費が堅調であったことや、設備投資がプラスに転じ、景気を下支えしたことによる。また、7〜9月期は個人消費の伸びは前期に比べて緩やかになったものの、機械関連の設備投資が大幅に増加したことなどから同2.9%の成長となった。
 輸出面では、原油高の影響でエネルギー産業が好調であるものの、カナダ・ドルが引き続き対米ドルで増価している中で、自動車産業等の輸出産業への影響が懸念される。また、物価については、消費者物価上昇率が金融政策の目標圏である前年比1〜3%の範囲内で推移しているものの、後述の通り9月以降政策金利の据え置きが続けられる中で、実体経済の堅調さを反映した労働市場の引き締りや原油価格の高騰などによるインフレ圧力の蓄積も懸念される。

カナダの主要経済指標

<2008年の経済見通し>
 2008年はおおむね2%台前半から半ばの緩やかな成長が見込まれる(IMF見通し2.3%(07年10月)、民間機関21社の平均2.5%(07年11月時点))。
 成長を支える要因としては、個人消費や設備投資が引き続き堅調に推移するとみられることが挙げられる。特に、原油高の恩恵を受けているエネルギー産業についてはその活性化が見込まれる。
 下方リスクとして、カナダ・ドルが過度に増価したり、アメリカ経済が一層減速する場合において、輸出への影響などが懸念される。

<財政金融政策の動向>
 カナダ政府は1994年度から本格的な財政再建に取り組んでおり、97年度以降財政収支は10年連続で黒字となっている。また、95年度に85.3%とピークだった政府債務残高のGDP比率は、06年度には32.3%に減少している。カナダ政府は、2012年度までに純債務残高をGDP比25%にするという目標を掲げているが、現在の財政状況のもとでは2011年度に達成可能と見込まれている。
 カナダ中央銀行は、06年5月以降、オーバーナイト政策金利を4.25%に据え置いてきたが、07年7月の金融政策会合で約1年ぶりに利上げを行い、4.50%とすることを決定した。この背景として、カナダ中央銀行は7月の政策決定後の声明の中で、今後のインフレ見通しについて「インフレは4月時点(注:前回の政策決定)の見通しよりもやや高く、より持続的なものになると見込まれる」とし、「インフレを中期的に目標に引き戻すためには、追加的に緩やかな利上げが必要となるかもしれない」と述べた。しかしながら、8月にはアメリカのサブプライム住宅ローン問題に起因してカナダ国内でも金融市場の変動が起きたこともあり、9月の金融政策会合では政策金利は据え置きとされた。政策決定後の声明では、物価変動リスクとして、国内の家計需要が予想以上に高まることに対する上振れリスクと、アメリカ住宅市場の一層の悪化とその実体経済への影響という下振れリスクが挙げられており、「信用収縮の高まりが国内需要の伸びを抑制する」可能性を指摘している。その後10月にも金利の据え置きが決定されており、声明は「すべての要因を考慮した上で、中央銀行は若干下振れリスクにバイアスをかけて、インフレ見通しに関するリスクをバランスさせている」としている。


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