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付注1-1 財政収支の項目別内訳

 ここでは、OECD統計(SNAベース)及びOECD推計値を用いて、各国の一般政府の財政収支を「構造的収支」、「循環的収支」、「一時的要因」及び「純利払い」に分計した。「一時的要因」としては、OECD統計で識別可能な携帯電話のライセンス販売収入を計上した。なお、「構造的収支」に係るOECDの推計方法については、Girouard and André(2005)、van den Noord (2000)及びGiorno et al (1995)を参照。
 詳細は以下の通り。

●財政収支の内訳
 財政収支は「歳入」と「歳出」の差で表され、それぞれが経常部分とそれ以外の部 分に分けることができる。すなわち、

  「財政収支」 =「歳入」−「歳出」
   =「経常歳入」−「経常歳出」−「純資本歳出」
となる。ここで、「経常歳入」及び「経常歳出」については、それぞれより「利子受取」及び「利子支払」を除いた後、OECD推計値により、構造部分と循環部分に分けることができるので、「循環的経常歳入(歳出)」を「循環的歳入(歳出)」と表記すると、
  「財政収支」=( 「構造的経常歳入」+「循環的歳入」+「利子受取」)
   −(「構造的経常歳出」+「循環的歳出」+「利子支払」)
   −「純資本歳出」
となる。ここで、
  「純資本歳出」= 「公的固定資本形成」+「資本歳出」−「資本税」
   −「固定資本減耗」
であり、OECD統計上は「資本歳出」に符号を逆にして含まれている携帯電話のライセンス販売収入を「一時的要因」として別掲し、整理すると、
  「財政収支」=( 「構造的経常歳入」+「資本税」)
   −(「構造的経常歳出」+「公的固定資本形成」+「資本歳出」
   −「固定資本減耗」)
   +(「循環的歳入」−「循環的歳出」)
   −(「利子支払」−「利子受取」)+「一時的要因」
と分解できる。
 ここで、
  「構造的歳入」= 「構造的経常歳入」+「資本税」
  「構造的歳出」= 「構造的経常歳出」+「公的固定資本形成」+「資本歳出」
   −「固定資本減耗」
とすると、
  「財政収支」=( 「構造的歳入」−「構造的歳出」)
   +(「循環的歳入」−「循環的歳出」)
   −(「利子支払」−「利子受取」)+「一時的要因」
であり、さらに、
  「構造的収支」=「構造的歳入」−「構造的歳出」
  「循環的収支」=「循環的歳入」−「循環的歳出」
  「純利払い」=「利子支払」−「利子受取」
とすると、
  「財政収支」= 「構造的収支」+「循環的収支」−「純利払」+「一時的要因」
と表示することができる。

●構造的歳出の内訳
  「構造的歳出」について以下の通り分解する。

  「構造的歳出」= 「政府消費(人件費)」+「政府消費(人件費以外)」
   +「社会保障」+「純公的固定資本形成」+「その他」
ただし、
  「純公的固定資本形成」=「公的固定資本形成」−「固定資本減耗」
  「その他」= 「経常移転」+「補助金」+「資本歳出」
   +「財産所得支払」−「利子支払」
である。
 なお、OECD推計では、歳出面では「社会保障」のみ循環要因の調整が行われており、上記の「社会保障」は循環要因を除いたもの。

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