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10  マレーシア     Malaysia

<2004年>

マレーシア経済のこれまで

<2005年の経済>
 2005年の経済成長率は、5%程度になると見込まれる(政府見通し5%、民間機関9社の平均5.2%(05年10月時点))。民間機関の見通しは半年前(05年5月5.1%)に比べて上方修正されている。05年の前半は、世界的なIT関連財需要の落ち込みにより輸出の大半を占めるIT関連財の輸出が伸び悩み、また原油価格高騰により消費者物価が上昇し、民間消費の伸びが鈍化するなど、経済成長率は1〜3月期前年同期比5.8%、4〜6月期同4.1%と景気の拡大は緩やかになっている。
 燃料小売価格は政府の統制を受けてきたが、原油価格高騰を受けて04年より数次にわたり引き上げられてきた。しかし、物価の過度の上昇を抑え、各種産業、消費者へ及ぼす負担を軽減することを目的として、政府は05年9月より燃料価格、高速道路使用料の引上げの期限付き凍結、商用車に対する道路税の引下げ等各種の政策を行っている。政府は同時に電力業者等広範囲に燃料補助金を支出しており、燃料補助金に対する政府負担額は前年比34%増の160億リンギに上る見込みである。

マレーシアの主要経済指標

<2006年の経済見通し>
 06年の経済成長率は、5%程度の成長になると見込まれる(政府見通し5.5%、民間機関9社の平均5.2%(05年10月時点))。
 成長を支える要因としては、05年後半から世界的なIT関連財需要の回復により輸出の増加が見込まれること、それに伴う雇用環境の改善及び民間設備投資の増加が挙げられる。また06年からの第9次5か年計画による政府のインフラ整備を目的とする公共投資増加により、関連産業の活性化が見込まれる。
 下方リスクとしては、原油価格の高騰によるさらなる物価上昇と消費の不振等が挙げられる。

<財政金融政策の動向>
 06年度予算案をみると、歳出は前年度比7.6%増の1,340億リンギ、歳入は同9.2%増の1,155億リンギとなるものの、184億リンギ(GDP比3.5%)の財政赤字が見込まれている。9年連続の赤字予算となるが、政府は04年度より財政再建路線をとっており、GDP比をみると05年度の赤字見込み(GDP比3.8%)よりはやや改善している。予算案の中では、原油高や国際競争の激化等の不安定な対外的環境に対応しつつ、より高い成長を達成するための経済基盤強化に重点が置かれている。ビジネス環境の整備・改善、人材の育成、国民の生活水準・福祉の向上等を課題とし、企業を経営していく上でのコスト削減や障害の除去を目的とした一連の優遇税制、総予算規模の5分の1にあたる290億リンギにも及ぶ科学技術部門の教育・研修への支出等が予定されている。
 金融政策については、政策金利であるオーバーナイト政策金利は、消費者物価上昇率が高まっているにもかかわらず、景気に配慮し、04年4月以降2.7%のまま据え置かれている。
 通貨は、98年9月のアジア危機以降固定相場制(1ドル=3.8リンギ)がとられてきたが、05年7月21日に中国通貨の人民元の切上げが行われたのと同日、通貨バスケット方式による管理フロート制への移行が公表され、即日実施された。国際経済・金融環境の変化と主要貿易相手国間における為替レートの安定の必要性等が理由として挙げられている。これに伴う為替レートの増価幅は現時点では、制度変更前に比し対ドルで1%に満たない増価幅にとどまっている。


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