2 カナダ Canada
<2004年>
<2005年の経済>
2005年の経済成長率は、3%弱となる見込みである(政府見通し2.9%、民間機関25社の平均2.9%(05年10月時点))。05年前半のカナダ経済は、1〜3月期は雇用環境の改善に伴う所得の伸びと低金利を背景に個人消費は堅調だったことにより、前期比年率2.1%となった。4〜6月期には引き続き堅調な個人消費と、4四半期ぶりにプラスとなった純輸出により、同3.2%となった。カナダ・ドル増価にもかかわらずアメリカ等の堅調な外需により輸出は拡大を続けた一方で、輸入の伸びが鈍化したことから純輸出はプラスに転じた。また、在庫投資についてもマイナスが続いており、在庫調整局面が続いている。
カナダ・ドルは04年10〜12月期から対米ドルで増価しており、輸出への影響が懸念されている。エネルギー価格の高騰により、原油や天然ガス等のエネルギー産業の輸出は好調に推移しているものの、その他の産業では価格競争力の低下から、7〜9月期の企業景況感調査では売上拡大を見込む企業は減少していることから05年は昨年比で輸出の伸びは鈍化するとみられる。
<2006年の経済見通し>
06年は3%程度の比較的堅調な成長が見込まれる(OECD見通し3.2%(05年11月)、民間機関25社の平均3.0%(05年10月時点))。
成長を支える要因としては、堅調な国内需要及び世界経済の需要の回復に伴う輸出増による企業収益の増加、エネルギー製品輸出の伸びが挙げられる。
下方リスクとして、カナダ・ドル増価による輸出の減少や、マイナスとなった家計貯蓄率の持続可能性、原油高継続による物価上昇圧力の高まりが挙げられる。
<財政金融政策の動向>
カナダ政府は94年度から本格的な財政再建に取り組んでおり、97年度以降財政収支は8年連続で黒字となっている。また累積赤字削減に向けた取組も行われており、95年度に68.4%とピークだった累積赤字のGDP比は、04年度には38.7%に減少している。また、カナダ政府は04年度予算から、少子高齢化社会に対応するため、14年度までに累積赤字をGDP比25%にするという新たな目標を掲げており、それは05年度予算においても継承されている。
カナダ中央銀行は、05年9、10月の金融政策会合で約1年ぶりに利上げを行い、オーバーナイト政策金利をそれぞれ0.25%ポイント引上げ、3.00%とした。この背景について、10月の政策決定後、カナダ中央銀行は声明の中で、「国内経済は潜在成長率に近い水準で推移している。この状況は07年まで持続すると予想しているが、エネルギー価格の高騰によるインフレの懸念(06年4〜6月期までに消費者物価指数(総合)が前年同月比約3%の上昇を予想)もあり、中期的な物価目標が遵守される必要がある。」と利上げ決定を説明している。また、「さらに今後1、2年は金融緩和を解除していく必要がある」とも述べており、今後も利上げを継続する可能性を示唆している。
今後の政策運営においては、原油や天然ガス価格の上昇よるインフレ懸念を注視していくとしている。