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18 英国     United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
<2003年>

英国経済のこれまで

<2004年の経済>
 2004年の経済成長率は、3%台前半となる見込みである(政府見通し3.0〜3.5%、民間機関28社の平均値3.3%(2004年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2004年4月2.9%)と比べ上方修正されている。良好な雇用環境や、住宅価格の上昇による資産価値の増加を背景に、個人消費や住宅投資が堅調に増加し、1〜3月期の成長率は前期比年率2.7%、4〜6月期は同3.6%と、潜在成長率の2.5%を上回る成長が続いている。年後半は、政策金利引上げの影響等により住宅市場の沈静化が見込まれることから、個人消費の増加も緩やかになると予想される。

英国の主要経済指標

<2005年の経済見通し>
 2005年の経済成長率は、2%台後半となる見込みである(民間機関28社の平均値2.7%(2004年10月時点))。成長を支える要因としては、住宅投資と個人消費の緩やかな増加や、引き続き公共サービス充実のため政府消費の増加が見込まれることなどが挙げられる。失業率は低水準で推移する見込みである。消費者物価上昇率は、生産余力の縮小等により上昇し、2005年末にはインフレターゲットの2%に近づく見通しである。
 下方リスクとしては、家計債務が増加しているなか、住宅価格の急激な調整が起きれば、個人消費が抑制されるおそれがあること、原油価格の高騰が、ユーロ圏をはじめとする主要貿易国の需要を減少させ、輸出の回復が遅れる可能性があることなどが挙げられる。

<財政金融政策の動向>
 2004年度の財政収支は、GDP比2.6%の赤字となる見込みである。政府は、7月に、2005〜07年度の中期歳出見直し(Spending Review)を発表した。医療、教育、交通等政府の重点分野についての配慮は続けるものの、全体的な歳出額の伸びは年平均3.2%(2003〜05年度の歳出見直しでは同4.2%)と伸び率が抑えられ、財政赤字削減を意識した計画となった。また、2008年までに公務員10万人を削減、2万人を配置転換し、公共部門の効率化による年間200億ポンド以上の歳出削減を目指すこととしている。
 金融政策については、イングランド銀行は、政策金利を2003年11月から5回、計1.25%ポイント引き上げ、4.75%とした。これは、個人消費、政府消費、企業投資の増加により経済成長が力強く続いていること、住宅市場が好調であること、雇用市場がさらに引き締まっていることなどを背景に、消費者物価上昇率は2%のターゲットを下回っているものの、生産余力の縮小等により将来的なインフレ圧力が強まることに対して予防的に措置したものである。


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