19 ロシア連邦 Russian Federation
<2003年>
<2004年の経済>
2004年の経済成長率は6%台後半となる見込みである(政府見通し6.9%(2004年8月時点)、民間機関7社の平均7.0%(2004年10月時点))。民間機関の見通しは半年前(2004年4月時点)に比べて上方修正されている。2004年前半は原油価格の高騰からエネルギー部門を中心に輸出が大幅に増加した。好調な輸出から生産が拡大し、収益増加から設備投資が増加するなど好循環が続いた。また、可処分所得の増加から消費ブームは過熱傾向となり、2004年前半の実質GDP成長率は前年同期比7.4%となった。年後半は、原油、天然ガスをはじめとする資源価格の動向に左右されるものの、引き続き高い成長を続けると予想される。
<2005年の経済見通し>
2005年は5%台後半の経済成長が見込まれる(政府見通し6.3%(2004年8月時点)、民間機関7社の平均5.8%(2004年10月時点))。
成長を支える要因としては、エネルギー産業を中心に生産、投資が拡大すること、消費ブームが続くことなどが挙げられる。下方リスクとしては、天然資源輸出に依存した経済が資源価格急落、世界的な需要減少等の外的要因により悪化するおそれがあり、エネルギー産業以外の産業育成や銀行改革、自然独占体(電気、ガス等)分野の改革、行政改革等の経済構造改革を進めないと好循環が断たれる可能性がある。また、政情不安定、経済構造の不透明さから資本が海外へ流出する可能性もある。
<財政金融政策の動向>
2004年度予算では、2004年度財政収支はGDP比0.5%の黒字が見込まれているものの、2004年前半ではGDP比4.4%の黒字となっている。一方、8月末に国家院へ提出された2005年度予算案では、2005年度の歳入は3兆3,260ルーブル(GDP比17.8%)、歳出は3兆480億ルーブル(GDP比16.3%)で、GDP比1.5%(2,780億ルーブル)の黒字が予想されている。原油価格下落時のための予算的な備えとして、原油価格が高いときに生じた臨時収入を蓄える「安定化基金」は、2004年以降の原油価格高騰から、9月時点で3,000億ルーブルを超え年内には目標の5,000億ルーブルに達する見込みとなっている。同予算案で、2005年に「安定化基金」の目標額超過分の一部を対外債務支払い及び年金基金への補填に用いることを予定している。
金融政策については、ロシア中央銀行が6月に公定歩合を過去最低の13%に下げるなど緩和が続いている。
為替の動向をみると、好調な輸出を背景とした経常収支黒字からルーブル上昇圧力が発生している。上昇圧力に歯止めをかけるために政府による外貨購入が行われていることから、外貨準備高は増加し続けている。それに伴いマネーサプライ増加率も近年、前年同期比40%超と大幅に増加している。ロシア中央銀行はインフレ抑制とルーブル相場上昇抑制という矛盾する2つの目標達成を目指しているものの、2004年前半のインフレ率は既に前期比年率で12%超となっており、年後半にインフレ率を抑えなければ、2004年の政府見通しのインフレ率10%の達成が懸念される。