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10  マレーシア     Malaysia
<2003年>

マレーシア経済のこれまで

<2004年の経済>
 2004年の経済成長率は、6.5%程度になると見込まれる(政府見通し6%、民間機関9社の平均6.6%(2004年10月時点)。民間機関の見通しは半年前(2004年4月5.5%)に比べて上方修正されている。2004年の実質GDP成長率は1〜3月期は前年同期比7.6%、4〜6月期は同8.0%と予想を上回る高成長を記録した。製造業を中心に生産が前年同期比12%台の大幅な拡大であったことに加え、サービス業も高い伸びを示したことが景気拡大の要因となった。また輸出についても、主要輸出品である電機・電子部品を中心に、アメリカ向けや中国を中心としたアジア域内向けの需要が高かったことから、大幅に増加した。民間消費も輸出や生産の好調による所得増加に加えて、物価が安定していることや雇用状況が改善していることなどから高い伸びを示している。

マレーシアの主要経済指標

<2005年の経済見通し>
 2005年の経済成長率は、5%程度の成長になると見込まれる(政府見通し6.0%、民間機関9社の平均5.2%(2004年10月時点))。
 成長を支える要因としては、物価や雇用が安定していることから、個人消費の拡大が引き続き見込まれることなどが挙げられる。
 下方リスクとしては、主要な輸出先である中国の景気引締め策やアメリカの金利引上げなどによって、外需の減速に伴う輸出の鈍化が懸念される。

<財政金融政策の動向>
 政府は2004年9月に2005年度予算案を発表した。財政収支は歳出が1,174億リンギ、歳入が992億リンギで、財政赤字は182億リンギとなり、8年連続の赤字予算となったものの、対GDP比では3.8%と2004年度見通しの同4.5%よりも低くなっている。予算案では、(1)財政運営の効率化、(2)高付加価値経済への移行加速、(3)成長要素としての人的資源の開発、(4)国民の生活水準の向上による社会福祉の充実の4点が重要な政策項目として掲げられた。歳入面では、輸入関税について27品目の関税を廃止し、118品目については税率を引き下げる。一方で、タバコ税・酒税を増税し、全体では前年より2.2%の増収を見込んでいる。また従来の販売税・サービス税に替わる新税として、消費税を2007年から導入することを表明した。歳出面では、開発プロジェクトに対する支出を前年より9%削減するなど、全体で昨年度予算よりも更に4.2%削減する。
 一方で、国内産業の成長を進めるため資本市場の強化や中小企業開発の促進について重点を置いている。アブドラ首相は2005年度予算について、持続可能な成長のため財政赤字を徐々に削減するとともに、成長の促進にも力を入れることを表明した。
 金融政策については、2004年4月に政策金利を今までの3か月物市場介入金利から、オーバーナイト政策金利に変更し、その目標値を2.70%にすることが決定された。中央銀行(BNM)は、今回の新たな政策金利の導入が金融政策そのものを変更するものではないとしている。通貨リンギは98年9月以降1米ドル=3.8リンギに固定されている。


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