目次][][][年次リスト

9 タイ     The Kingdom of Thailand
<2003年>

タイ経済のこれまで

<2004年の経済>
 2004年の経済成長率は、6.5%程度になるものと見込まれる(政府見通し6〜6.5%、民間機関9社の平均6.4%)。民間機関の見通しは、半年前(2004年4月時点7.1%)に比べ、下方修正されている。2004年1〜3月期のGDP成長率は前年同期比6.6%、4〜6月期は同6.3%であった。経済の伸びは前年に比べ減速しているものの、高い成長を続けている。民間消費は、かんばつや鳥インフルエンザによる農産物価格の高騰、南部地域の治安悪化等による消費マインドの低下を受け、伸びが鈍化しているが、農家収入が上昇していることや、自動車の売り上げが好調なことなどから堅調に推移している。投資については、製造業を中心に生産が好調なことから依然として高い伸びを示している。また、前年にSARSの影響を受けた観光業は、観光客数が発生以前の水準に回復している。輸出は自動車や自動車部品など機械関連を中心に好調で、輸出額は拡大している。

タイの主要経済指標

<2005年の経済見通し>
 2005年の経済成長は5.5%程度の成長になると見込まれる(政府見通し5.5〜6.5%、民間機関9社の平均5.8%(2004年10月時点))。アメリカや中国等、主要輸出先の経済が調整局面に入るとみられることから、輸出の伸びが鈍化することが予想され、2004年に比べ低い見通しとなっている。
 成長を支える要因としては、企業収益の増加や非農業部門の雇用拡大を背景として、製造業を中心に民間投資などの内需が引き続き景気をけん引することが見込まれる。
 下方リスクとしては、原油価格の高騰によって生産コストや消費者物価の上昇が続くことにより、景気を支えている生産や消費に悪影響を与えることが懸念される。

<財政金融政策の動向>
 タイでは1997年の通貨危機以降、景気回復のための支出が増加したことにより、財政収支は赤字が続いている。政府債務は2003年9月時点で、GDP比27.8%であったが、その後景気拡大による税収の増加もあり、2004年5月には同24.8%に減少した。
 10月から新会計年度に入り、2005年度(03年10月〜04年9月)予算を実施している。2005年度予算は歳入、歳出とも1兆1,700億バーツで、通貨危機以降初の均衡予算となっている。歳出では、行政の効率化による支出抑制の一方、投資支出の規模は維持されており、景気拡大を持続させるための配慮がなされている。また、債務返済費は、584億バーツで、前年度に比べ60.5%増加しており、通貨危機後に増大した公的債務の圧縮を進めている。
 金融政策については、原油高騰や設備稼働率の上昇及び労働市場のひっ迫により物価上昇圧力が高まっていることから、タイ中央銀行は2004年8月、政策金利である14日物レポ金利を1.25%から1.50%に、10月には1.75%に引き上げる決定をした。為替市場は2004年4月末に1ドル=40バーツ台に減価し、その後も減価基調が続いている。(10月8日時点1米ドル=41.32バーツ)。


目次][][][年次リスト