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4 韓 国     Republic of Korea
<2003年>

韓国経済のこれまで


<2004年の経済>

 2004年の経済成長率は、5%前後となる見込みである(政府見通し5%前後、民間機関28社の平均5.1%(2004年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2004年4月時点5.0%)に比べてほぼ横ばいとなっている。2003年の景気後退の後、2004年に入り、世界的な景気回復を背景に輸出が急速に拡大し、生産も好調となるなど景気は回復している。しかし、設備投資の回復が思わしくないことや、99年から導入されたクレジットカード利用優遇策に対する反動として生じた家計債務問題を反映し、消費が依然として低迷を続けている。さらに、原油価格が高止まりすれば、輸入依存度の高い韓国では企業収益を圧迫しかねないなど、下方リスクも存在している。

韓国の主要経済指標

<2005年の経済見通し>
 2005年は、2004年より若干減速するものの、5%前後の成長が見込まれる(政府見通し5%、民間機関28社の平均4.7%(2004 年10月時点))。 ただし、アメリカや中国の景気動向次第では、IT関連製品を中心としたそれらの国々への輸出の伸びが鈍化する懸念がある。また、生産拠点の中国・東南アジア等への移転する企業が増加するなど、製造業に空洞化の懸念もみられることや、地政学的リスクの存在等不安定な状況も存在しているため、景気の動向には留意が必要である。

<財政金融政策の動向>
 財政については、2003年に引き続き、景気刺激及び、景気不振の影響を受けている社会的弱者・中小企業等に対する支援に重点が置かれ、7月に補正予算が編成された。その総額は約2兆4,000億ウォン(GDP比約0.3%)で、主に雇用創出(約5万5,000人分)や貧困層への支援、信用保証機関や中小企業の支援、公共建設投資の拡大等に振り向けられる。
 しかしながら、今回の補正予算は約1兆3,000億ウォンの赤字国債発行でまかなわれるなど、今後の健全な財政運営という観点からは問題が残る。
 金融政策では、景気対策の一環として、8月にコールレートの誘導水準が0.25%ポイント引き下げられ、史上最低水準の3.50%となった。今回の利下げの理由として、韓国銀行は、消費、設備投資などの内需の回復が遅れていることや、原油価格の高騰や世界的なIT関連分野の景気が鈍化する可能性を挙げているが、これに加え、金融面で中小企業の資金の流動性をさらに高めることも挙げている。また、経済成長を持続させるため、財政・金融両面でのポリシーミックスを引き続き維持していくべきとの見方を示している。


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