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3 中 国     People's Republic of China
<2003年>

中国経済のこれまで

<2004年の経済>
 2004年の前半は10%近い成長となり、景気拡大が続いている。2004年通年では8%台の見込み(政府見通し7%、民間機関28社の平均8.8%(2004年10月時点))である。民間機関の見通しは半年前(2004年4月時点8.3%)に比べ上方修正されている。
 2004年初頭から鉄鋼、セメント、アルミ等といった一部業種において見受けられた投資過熱に対し、3月以降金融引締めといった抑制措置が実施された。この結果、固定資産投資が2004年1〜2月は前年同期比53%の増加であったのが、2004年1〜9月には29.9%まで減速、鉱工業生産やマネーサプライについても、年初には前年同月比20%前後で推移していたものが、8月には同15%台まで低下するなど、抑制効果が表れている。消費者物価上昇率は、天候不順等により食品価格が大幅に上昇したことで、年初にプラスに転じた後、5%台に達している。都市部失業率は1〜3月期、4〜6月期とも4.3%と過去最高値で推移している。

中国の主要経済指標

<2005年の経済見通し>
 2005年の経済成長率は、8%台になる見込みである(政府見通し7%前後、民間機関28社の平均8.1%(2004年10月時点))。成長を支える要因としては、所得や社会保障制度の改善により、個人消費が堅調に推移するとみられるほか、輸出の増加を背景に、生産が引き続き拡大するとみられる。民間投資については、政府はマクロ・コントロール機能を強めるとしていることから、減速すると見込まれる。また、輸出は、2005年には世界経済の回復基調が緩やかなものとなると見込まれるため、伸びがやや鈍化する可能性がある。他方、輸入はWTO加盟による関税や貿易障壁の低下により輸出を上回るテンポで増加が見込まれ、その結果、経常収支の黒字幅も縮小する可能性がある。

<財政金融政策の動向>
 2003年の財政赤字はGDP比2.5%となった。2004年は赤字削減のため、建設国債発行額を前年よりも300億元削減し1,100億元発行することとしている。2004年の政府の経済・社会発展の目標は、農民の所得増進による食糧生産能力の保護と向上、 公衆医療衛生、教育といった社会インフラ整備、 無計画な投資、重複投資の抑制等による産業構造の調整と最適化、就業機会の拡大等が挙げられている。
 2004年の財政状況は順調に推移している。2004年1〜7月の財政収入は前年同期比30.1%増の約1.7兆元となっており、予算における収入目標(約2.4兆元)の約7割に達している。一方、財政支出に関しては、11の省などで農業税低減のために510億元を拠出したものの、1〜7月で前年同期比10.9%増と小幅な伸びとなっている。
 金融政策に関しては、投資加熱を抑制するため、引締め政策に転換している。中国人民銀行は3月に中央銀行基準利率を0.63%ポイント引き上げ、3.24%から3.87%(1年物)とした。また4月には預金準備率を自己資本比率等の財務状況に応じて段階的に引き上げを行い、過剰融資の抑制を図った。さらに、4月には、鉄鋼、電解アルミ、セメント、不動産開発等といった投資過熱業種については借り入れ抑制のために自己資本比率を引き上げる通知が出されている。


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