6 香 港 Hong Kong
<2003年>
<2004年の経済>
2004年の経済成長率は、7%前後(政府見通し7.5%、民間機関27社の平均6.1%(2004年10月時点))となる見通しである。政府見通し及び民間見通しは半年前(政府見通しは2004年3月時点6.0%、民間見通しは2004年4月時点5.5%)に比べ上方修正されている。中国本土との経済貿易緊密化協定(CEPA)締結(2003年7月)により、中国向けを中心に貿易が堅調に増加したことや、中国本土からの観光客が大幅に増加し観光関連産業が好調となったことを受けて1〜3月期、4〜6月期の経済成長がそれぞれ前年同期比7.0%、12.1%となり、景気は回復を続けている。物価動向については、1999年以降5年連続で物価上昇率がマイナスとなっていたが、2004年に入り、景気の回復により物価上昇率は前年同期比でプラスとなった。2003年7月には失業率が過去最高(8.7%)を記録したが、このところの景気の回復を反映して緩やかに改善している。
<2005年の経済見通し>
2005年の経済成長率は、4%台半ば程度(民間機関27社の平均4.5%(2004年10月時点))となる見込みである。
成長を支える要因としては、まず輸出が挙げられる。香港から本土への輸出のうち、CEPAに基づき現在374品目に対し関税が免除されているが、2005年1月1日より、その免除適用範囲が拡大されるため、対中国向け輸出はさらに増加が見込まれる。次に堅調に推移している観光業が挙げられる。中国政府が2004年7月1日より、広東省に加え浙江省、江蘇省、福建省においても香港への個人旅行を認可したことや、2005年末には香港ディズニーランドが開業予定であることから、観光業が景気を下支えしていくものとみられる。
<財政金融政策の動向>
財政赤字は2004年7月(会計年度開始後3か月)までに53億香港ドル(2004年度の財政赤字見込みは426億香港ドル(GDP比3.4%))となっている。
2004年度香港政府予算案では、公務員数の削減等により段階的に公的支出を削減し、2008年度までに収支を均衡させる目標を立てられた。
2004年度の歳出は前年度比2.3%増の2,587億香港ドルを予定し、教育、社会福祉、衛生、治安維持等に充てる予定である。歳入面では4月にはトンネルや橋の通行料を証券化して公募(60億香港ドル)を実施し、7月には200億香港ドルの政府債券の発行といった財源調達が実施されている。税制面では、給与所得税の標準税率と累進税率、非法人の事業所得税率、そして資産所得税率を上げることで130億香港ドルの歳入増を予定している。消費税(GST)の導入の可能性は引き続き調査するとしている。
金融政策については、香港金融管理局はカレンシーボード制を採用しているために米連邦準備制度理事会(Fed)の政策金利引き上げに追随して政策金利(基準貸出金利)を7月、8月、9月にそれぞれ0.25%ポイントづつ引き上げ、9月末には3.25%とした。