10 マレーシア Malaysia
<2002年>
<2003年の経済>
2003年の経済成長率は、4.5%程度になると見込まれる(中央銀行見通し4.5%、民間機関6社の平均4.2%(2003年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2003年4月4.2%)と同レベルとなっている。実質GDP成長率(前年同期比)は1〜3月期4.6%、4〜6月期4.4%となった。4〜6月期のGDPは、SARSの影響が懸念されていたものの、影響はほとんどみられなかった。個人消費は乗用車販売が落ち込むなど鈍化傾向を強めており、また、輸出額の約50%を占める電子・電気製品の輸出の伸びが鈍化するなど輸出も弱い動きとなっている。年後半は、5月に実施された総額73億リンギ(GDP比2%)の景気刺激策が効果を現してくると考えられる。加えて、主要貿易相手国であるアメリカ、日本の景気回復に伴い、輸出は回復に向かうと見込まれる。
<2004年の経済見通し>
2004年の経済成長率は、5%程度となる見込みである(政府見通し5.5%〜6.0%、民間機関6社の平均4.9%(2003年10月時点))。
成長を支える要因としては、世界経済の回復につれて輸出の回復が見込まれる。また、2003年の金融緩和による景気刺激効果が浸透することから投資も回復が見込まれる。
下方リスクとしては、輸出頼みの回復であり、内需の中心である個人消費については自動車販売が2002年後半以降低迷が続くなど先行き厳しい可能性も考えられる。
また、2003年10月末にマハティール首相が退任しアブドラ副首相が首相に就任する予定であり、基本的には政策は踏襲される模様である。
<財政金融政策の動向>
政府は、2003年9月に2004年度予算案を発表した。マハティール政権最後となった予算案は、ここ数年と同様に経済発展と成長を重視したものとなった。財政収支は156億リンギの赤字となるものの、GDP比は3.3%と前年(3.9%)を下回る見込みである。2003年度の財政赤字については、GDP比5.4%となる見込みである。2004年度の歳出は、前年比1.1%減、歳入は同7.2%増を見込んでいる。予算案では、所得税率と法人税率については現行のまま据え置いたが、たばこと酒については増税措置をとった。また、消費刺激策として小型バイク(150cc以下)の道路税の免除や公務員への半月分のボーナス支給、中小企業対策として、2003年度予算で引き下げた中小企業の法人税率(20%)の適用範囲の拡大(課税所得10万リンギから50万リンギ)などを盛り込んだ。
金融政策については、5月に景気刺激策の一環として、2001年9月以来据え置かれていた政策金利(3か月物市場介入金利)を5.0%から4.5%に引き下げた。通貨リンギは98年9月以降1米ドル=3.8リンギに固定されている。